【ワシントン=渡辺浩生】共和党が制したニュージャージー、バージニア両州の知事選は、失業者の急増や財政赤字の拡大を背景に、オバマ政権の経済政策に対する不満が有権者に広がっていることを浮き彫りにした。年内の法案成立を目指して審議が山場を迎えた医療保険改革にも、大きな打撃を与えるのは間違いない。
「投票結果はホワイトハウスに対する威嚇射撃だ」と共和党のエリック・カンター下院議員は語る。
両州の出口調査の結果をみると、投票した有権者の多くが今後の米経済の方向性に不安を抱いていたのは明らかだ。
先月29日に発表された今年7〜9月期の実質国内総生産(GDP)伸び率は3・5%増となり、戦後最長だった景気後退の終わりが確認された。ホワイトハウスは翌30日、大型景気対策で9月末までに64万人の雇用を創出・維持したと発表。オバマ大統領は「景気回復の真の証拠だ」とアピールするのに躍起だった。
しかし、6日に発表される10月の失業率は、9月の9・8%から10%台に達する見込み。「雇用環境は全く改善されず、財政赤字は膨らみ続け、政権の国内政策のかじ取りに有権者は不満を抱いている」と米シンクタンク、ヘリテージ財団のブライアン・ダーリング氏は指摘する。
1年前の大統領選ではオバマ氏を支持した両州の審判は、政権が内政の最優先課題に置く医療保険改革の審議の行方にも「劇的な影響を与える」(ダーリング氏)のは間違いない。
4600万人が無保険という現状の解消を目指す改革は、上下両院の本会議採決に向けて関連法案の審議が近く本格化する。いずれの法案にもパブリック・オプション(公的保険)の新設が盛り込まれ、政府介入強化の是非をめぐり、世論の賛否は二分している。
州知事選の勝利を受けて、「改革は政府の保険市場の支配につながる」という共和党の攻撃が勢いづくのは必至だ。さらに、公的保険の新設に懐疑的な立場をとり採決のカギを握っている民主党財政保守派も、有権者意識を読みながら、一部が不支持に回る可能性も取りざたされている。