【カイロ=村上大介】パレスチナ自治政府のアッバス議長は5日、来年1月に予定される自治政府議長選に出馬しない考えを表明した。ロイター通信などによると、議長はパレスチナ解放機構(PLO)執行委員会の席で出馬辞退の意向を示し、オバマ米政権が進めようとしているパレスチナ和平交渉再開問題で進展がないことを理由に挙げた。
オバマ政権はイスラエルに対し、占領地ヨルダン川西岸でのユダヤ人入植地拡大の全面凍結を求めてきたが、先週、中東を訪問したクリントン米国務長官はイスラエルのネタニヤフ首相との会談で、イスラエル側の部分凍結案に理解を示す姿勢を示した。 入植地拡大の全面凍結は、2003年に米国が仲介した新パレスチナ和平案(ロードマップ)で、交渉開始前にイスラエル側が履行すべき条件に挙げられており、アッバス議長は、オバマ政権に、イスラエルがこの義務を履行しない限り交渉に入らないとの姿勢を明確にしてきた。
クリントン長官はその後、占領地への入植地建設には正当性がないとの米政府の立場を繰り返しつつも、パレスチナ側に入植地問題を先送りして交渉に入るよう求めており、議長の不出馬表明は米政府への抗議の意味が強いとみられる。
パレスチナは、ガザ地区を実効支配するイスラム原理主義組織ハマスとの間で分裂状態にあり、議長はエジプトが仲介した和解交渉の決裂を受け、先月23日、評議会(議会)選と議長選を来年1月に実施すると発表。これに対し、ハマスはガザ地区での選挙を阻止すると表明した。
穏健派の議長に代わる有力候補がいないことから、議長周辺は出馬辞退の撤回を求めている。