【ワシントン=渡辺浩生】米労働省が6日発表した10月の米失業率は26年ぶりに10%の高水準に達し、「ジョブレスリカバリー(雇用なき回復」の様相が強まってきた。景気回復局面を迎えているとはいえ、過去最悪の財政赤字を抱える米国にとって、追加的な景気対策を打ち出すのは難しい状況だけに、オバマ政権は厳しい経済運営を迫られる。
「2010年を通じて労働市場は脆弱(ぜいじゃく)な状況を続ける」。ローマー大統領経済諮問委員会(CEA)委員長は10月末の上下両院合同経済委員会でこう指摘し、10%前後の水準が来年末まで継続する可能性を示した。7〜9月期の米国の実質国内総生産(GDP)伸び率は5期ぶりにプラス成長に戻り、戦後最長の景気後退は数字の上で「出口」を迎えつつあるのは間違いない。
だが、国際通貨基金(IMF)の最新の世界経済見通しは、米国など多くの先進国で「失業率の高止まりが続く」と指摘する。多くの企業は人員削減などのリストラで収益を確保しているのが実情だからだ。10月の米製造業景況指数が06年4月以来の高水準となった理由も、ここにある。
こうした「ジョブレス・リカバリー」は景気対策や金融超緩和策などの危機対応を元に戻す「出口戦略」の判断を困難にしていく。米連邦準備制度理事会(FRB)は4日発表の連邦公開市場委員会(FOMC)の声明で当面、景気回復を優先させてゼロ金利を維持すると強調した。ゼロ金利の長期化はインフレ圧力を高めるだけに、解除の見極めがますます難しくなるのは間違いない。
先週、7870億ドルの景気対策による9月末までの雇用創出・維持効果を約64万人とする報告書を発表したオバマ政権に対し、米国内には費用対効果を疑問視する向きもある。09年度に1兆4千億ドルと過去最大の財政赤字を抱える中、追加対策は住宅購入者向けの税控除など現行措置の延長にとどまるとみられる。
「雇用が最大の争点」(米シンクタンク・ヘリテージ財団)とされる来年11月の中間選挙を控え、オバマ政権にとって頼みの綱は中国など海外の需要回復となりそうだ。