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記事まとめ

  • 内田篤人氏を起用したCMを国が放送するなど、コロナワクチン接種を呼びかけている
  • 副反応がきつかった人も多く、49歳女性はアナフィラキシー症状で生死の境をさまよった
  • 女性は2回目接種から10分で緊急外来に運ばれ、2度のICU治療と入院で費用は100万円超に

「緊急外来がなければ死んでいたかも」ファイザー製ワクチンの副反応で倒れた49歳女性 2度のICU治療と入院で費用は100万円超

 9月9日、政府は緊急事態宣言を19の都道府県で9月30日まで延長することを発表した。その陰で、国民のワクチン接種は急ピッチで進められている。

「サッカー元日本代表の内田篤人さんを広告塔にしたテレビCMを国が放送するなど積極的な接種を呼びかけており、未接種の20代、30代も多いものの、確実に効果も出ています。9月末までが最後の緊急事態宣言期間になるのではないかという観測もあり、ワクチンの接種を条件に酒類提供が解禁されるという具体的な議論も始まりました」(全国紙政治部記者)

 一方でワクチンをめぐっては「副反応が想像以上にきつかった」という声も多い。厚労省などによると、接種後に注射部位の痛み・腫れ、疲労、頭痛、寒気、下痢や発熱などが報告され、症状が数日続くケースも多い。そしてアナフィラキシー(強いアレルギー反応)の報告例もある。

 厚労省の審査会は8月中旬、アナフィラキシーなどを起こした22~66歳の29人について、健康被害を初認定した。ワクチン接種によって重大な影響が出たことを国が認め、かかった医療費を給付する仕組みも動き出している。

■「呼吸ができず、気管支切開の寸前で」

 関西地方に住む医療従事者の原田直子さん(49・仮名)も、重大なアナフィラキシー症状で生死の境をさまよった1人だ。

「2回目のワクチンを打ってすぐに強い副反応が出ました。呼吸ができず、気管支切開の寸前で、死んでしまってもおかしくなかった。アナフィラキシーの症状を抑えるアドレナリンを通常の何倍も打ちました」

 原田さんは7月に2回目のファイザー製ワクチンを接種した直後、壮絶な副反応に見舞われたという。

「私は接種後に呼吸困難に陥り、ICU(集中治療室)にも入りました。自分の体験を話そうと思ったのは、ワクチンの副反応の実態が国や国民にしっかり伝わっているのか疑問をもったからです。ワクチン接種は大事ですが、副反応の調査も同時に進めていく必要があると思います」

 原田さんは6月中旬のある日の午後、救急外来を備える大型病院で1度目のファイザー製のワクチン接種を受けた。その日の夜から蕁麻疹や倦怠感、微熱などの症状が1週間くらい続いたという。

「その後も本調子ではない、疲れやすい感じがずっと続きました。2回目の方が副反応が重いと聞いてはいたのですが、医療施設で働いているので2回目を接種しないという選択肢はありませんでした」

■接種から10分で緊急外来に

 7月上旬、原田さんは同じ大型病院で2回目のワクチン接種を受けた。接種後に急性の副反応が出るケースに備えて会場には待機エリアが設けられており、通常の待機時間は15分だが、原田さんは1回目の接種で副反応とみられる症状がでたことを病院のスタッフに相談し、30分間の待機を指示されていた。

「30分どころか、接種してすぐに手足が指先を中心にかゆくなってきました。とても熱を持っているような感覚があり、喉にはイガイガ感を感じました。

 それを看護師さんに伝えたら血圧計を取りに行ってくれたんですが、待っている間に気管支が痙攣しはじめたんです。呼吸をするのが難しくて、重度のぜんそく症状というか……。ぜえぜえと息が切れて、明らかに異常な状況でした」

 異常に気がついた別の看護師にストレッチャーに乗せられ、原田さんは救急外来に運ばれた。ここまで接種から10分足らずの出来事だという。

「急性のアナフィラキシーを抑えるためにアドレナリンを注射されましたが症状は収まらず、3時間で3回注入されました。それでも収まらなければ、気管支切開をする予定だったようです」

 アドレナリンの注射などで呼吸は落ち着いたものの、動脈内に酸素が行き渡っていない状態が続き、ICUで様子を見た。

「アドレナリンの影響で心拍数はかなり上がっていましたが、徐々に落ち着きました。医療関係の知人からも『救急外来のある病院でなかったら死んでいたかもね』と言われましたが、本当にそういうレベルの症状でした」

 翌朝までICUで様子を見たが、呼吸は落ち着いていたことからすぐ退院することになった。

「退院はしたものの血液内の酸素は足りない状態で、家へ戻ってきても階段はのぼれないし、お風呂に入っても息切れが激しかったです。本当はもう数日入院して回復してからにしたかったのですが、病院も商売ですから、ひとりの患者を長く診るより多くの患者の診察を優先しますよね」

 体調はなかなか戻らなかったが、仕事を休み続けることができず、接種を受けて倒れた日から5日後に出勤した。

「午後に少し力を入れる作業をしていたら、また呼吸がぜえぜえしてきてしまい、その場で動けなくなって救急車で前回と同じ病院に運ばれました。今回も症状がなかなか収まらず、救急外来でアドレナリンの投与を2回受けました。ICUでの経過観察後、今度はさすがに一般病棟で入院することになりました」

■「体型が小さい女性は…」

 しかし入院中も、厳しい症状が続いた。

「しゃべろうとしても息切れがすごくて声が出ないんです。もちろん食事はまったく摂れません。アドレナリンを打った影響で、心臓はバクバクいっていて寝られない。結局丸3日一睡もできませんでした。心拍数は高い状態が続き、フルマラソンを延々と走っているような感じでした」

 原田さんは約1週間の入院を経て退院、現在は仕事も再開している。肺機能などが本調子に戻るまで1カ月以上を要したという。

「特に持病もないので、たまたまファイザー製ワクチンの何かが私の身体に合わなかったのでしょうか。これまでの人生では、インフルエンザの予防接種で一度蕁麻疹がでたくらいで、あれほどひどい反応が出るとは思ってもいませんでした。私はタバコを吸うのでコロナウイルスにかかると重症化しやすいのは覚悟していましたが、ワクチンの副反応まで強くなるのでしょうか……。いま私たちが打っているワクチンは一律で同じ分量なので、体型が小さい女性は副反応が強くでやすいという話も聞きました」

 2度のICU治療と入院で、かかった費用は健康保険の3割負担でも40万円を超えたので、総額では100万円を優に超えている。高額医療費制度の申請をした上で、前述の「予防接種健康被害救済制度」を申請する予定だが「もしかしたら1回目の入院分しか出ないのかもしれない。それも含めて、ワクチンの副反応に苦しんだ人がどのようにしているか、情報が少ないんですよね」と心配は絶えない。

■多くの人の報告が国に上がっていない?

 厚労省は8月25日の専門部会で、ワクチン接種によるアナフィラキシーの副反応の件数を明らかにした。同月8日時点までの報告で皮膚や呼吸器、循環器の症状などに基づく国際基準に該当するアナフィラキシー症状は、ファイザー製が約9065万回の接種に対して405件、モデルナ製は約1226万回の接種に対して9件。確率にすると、10万~25万人に1人ということになる。しかし原田さんは、ワクチンに関する報道や国からの発表が不十分だと感じている。

「私のケースはさすがにアナフィラキシーと認められていますが、ある程度重い副反応の人でも国が出している数字には含まれていません。私が務める病院では20人ほどが同時期に接種を受け、同僚の中でなんともなかった人は2人しかおらず、発熱や蕁麻疹など皮膚の症状や、程度は軽い呼吸障害が出た人もいました。しかし多くの人は職場に連絡するくらいで、国や自治体には報告があがっていないんです」

 原田さんの20代の長女も医療従事者ですでに接種したが、高熱が出たという。

「若者が発熱しやすいというデータがあり、20代女性だと2人に1人は発熱するようです。ただ、それでさえ控えめな数字という気もしますよね。娘は医療従事者なので副反応で発熱があったことを勤務先の病院に伝えていますが、病院から国に報告する仕組みはありません。私の40~60代の同僚も発熱は多く、中程度のアレルギー反応が出た方もいます。打つのは怖いけれど、コロナの収束を願って我慢して打っている人もいる。そのことを国はもっとよく考えて、しっかりと説明をして、1人でも多くの人が納得してワクチンを打てるようにするべきだと思います」

 ワクチン接種率は急速に伸びているが、さらなる普及のためには不安を抱えて接種を躊躇している層にも納得できる調査と対処が問題になりそうだ。

(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))

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