“救済制度”導入 認知症が住みやすい町「神戸市」を見習え

“救済制度”導入 認知症が住みやすい町「神戸市」を見習え

神戸市役所(C)日刊ゲンダイ

認知症患者が絡む事故やトラブルへの救済制度を定めた神戸市の「認知症の人にやさしいまちづくり条例」改正案が5日、市議会で賛成多数で成立した。加害者のみならず、被害者の救済まで盛り込んだ条例の成立は全国初と、注目を集めている。

 条例では、加害者の認知症患者の賠償責任の有無にかかわらず、被害者には最大3000万円の見舞金が支給される。一方、患者側も民間保険会社の保険料を市に負担してもらえ、賠償金の支払い義務が生じた場合は、保険会社から最大2億円が支給される仕組みだ。

 厚労省の調査によると、神戸市には今年3月時点で約6万3000人の認知症患者がいる。条例成立で患者本人と家族は万一の事故の際に市に助けてもらえる上、被害者側も賠償金が支払われず「泣き寝入り」するケースは激減するとみられる。財源は、個人の市民税均等割に年400円上乗せし、来年度以降の3年間で9億円を捻出。来年4月に施行される。

「全国初となる見舞金支給制度については、賠償金を支払ってもらえず、被害者が泣き寝入りするケースを防ぐことが狙いです。認知症の方を巡る事故は全国的な課題になっていますが、さまざまな自治体で救済制度導入が見送られてきました。市民に税負担をお願いする形にはなりましたが、全国に先駆けて制度導入を実現することができました」(市介護保険課)

 認知症を装って保険金を詐取される恐れはないのか。

「市の指定医療機関の診断を受けなければ、給付対象者として加入することができません」(市介護保険課)

 なるほど、万全の対策を敷いているようだ。ところで、ここで疑問が浮かぶのが、神戸市よりも税収がウン十倍も潤沢な東京都がなぜ、同じような制度設計ができないのかだ。

 都は20年五輪関連経費で約1.4兆円も支出するのだ。経済ジャーナリストの荻原博子氏はこう言う。

「誰でも認知症になる恐れがあり、神戸市民は年400円という課税額にも納得しているでしょう。一方で、巨額な費用を投じる東京五輪は住民の生活向上に資するのかは疑問です」

 小池都知事は神戸市を見習うべきだ。

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