就活戦線は今後どうなる? 経団連「指針廃止」決定の波紋

経団連の「就活指針」廃止が正式決定 就活は長期化、学業に回す時間も減り大学混乱も

記事まとめ

  • ルール破りが横行していた日本経済団体連合会の「就活指針」の廃止が9日、正式決定
  • これにより、2021年春入社を目指す大学生から就活が"自由化"されることになる
  • この影響で就活の長期化は必至、学業に回す時間は減り、大学はメチャクチャになるとも

就活戦線は今後どうなる? 経団連「指針廃止」決定の波紋

就活戦線は今後どうなる? 経団連「指針廃止」決定の波紋

68年ぶりのルール撤廃(経団連の中西宏明会長)/(C)共同通信社

ルール破りが横行していた経団連の「就活指針」の廃止が9日、正式決定した。2021年春入社を目指す大学生から就活が“自由化”される。経団連は採用面接などのスケジュールを巡り、二転三転。17年4月入社組から「大学3年3月に就職広報解禁」「大学4年6月に採用選考解禁」と定め、約1600社の会員企業に順守を求めてきたが、形骸化していた。

 大学ジャーナリストの石渡嶺司氏は言う。

「実情は就活指針から、かなり先行して進んでいる。3年生の11〜12月に説明会に参加し始め、4年生の4〜5月に内々定を得るというスケジュールで動いています」

 一部の有名企業では通年採用を導入。ユニクロなどを運営するファーストリテイリングは13年3月入社から国籍を問わずに大学1、2年生の応募を受け付け、ネスレ日本も13年4月入社から年齢、学歴、国籍を問わずに採用。楽天やヤフー、リクルートなど、学生に人気の高い企業も追随した。

■実質選考スタート2年春に前倒しも

 就活ルールがなくなるのは、1953年の「就職協定」以来のこと。事実上のルール撤廃で就活戦線はどうなるのか。立命館大教授の西山昭彦氏(人材育成論)は言う。

「企業側は3年夏に実施するインターンシップを実質的な選考プロセスとしています。ルールがなくなれば、これが遅くとも2年から3年にかけての春まで前倒しされ、就活の長期化は必至です。学業に回す時間はますます減り、大学はメチャクチャになる。“内々定”を数社抱える就活強者の学生による“乗り換え”に振り回され、企業の採用活動にも支障が出かねません。経産省や金融庁などが中心となり、文科省や厚労省とも連携して省庁横断的なルール作りは必須です。3年3月に広報と選考を同時スタートさせるのが現実的な解決策だと思います」

 一方で、この大きな方針転換には2020年に開催される東京五輪の影響も見え隠れする。

■五輪も影響か

「新卒の就活は合同説明会の参加がマストですが、その会場となる大型の展示施設が五輪開催準備期間も含め、20年は長期間使用できない。地方の学生にとっては、宿泊施設不足の懸念もある。その上、11万人の募集がかかるボランティアのなり手不足で、文科省が大学側に単位認定を促す通知を出す異例の事態になっている。貴重なボランティア要員の大学生を就活に奪われたくないという政権や大会組織委員会の意向もあったようです」(都政関係者)

 五輪ボランティアを強要され、新体制での就活に臨まなければならない大学2年生はお気の毒と言うしかない。

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