仏政府“次世代原子炉”凍結はゴーン・ショックの意趣返しか

仏政府、日本と進める次世代原子炉開発凍結宣言はカルロス・ゴーン氏逮捕へ対抗措置か

記事まとめ

  • 日本と共同で進める次世代原子炉開発について、フランス政府が計画凍結する方針という
  • 日産自動車のカルロス・ゴーン前会長逮捕への対抗措置ということか、と著者は推測する
  • ルノーの筆頭株主で日産との経営統合を進めたいフランス政府の脅しとも受け取れるとも

仏政府“次世代原子炉”凍結はゴーン・ショックの意趣返しか

仏政府“次世代原子炉”凍結はゴーン・ショックの意趣返しか

原発政策で揺さぶり(C)共同通信社

日産のカルロス・ゴーン前会長(64)逮捕への対抗措置ということか。日本とフランスが共同で進めている次世代原子炉開発について、フランス政府が2020年以降、計画を凍結する方針を伝えてきたという。29日の日経新聞が報じた。

 この次世代原子炉「ASTRID(アストリッド)」は、現在主流の軽水炉とは異なる仕組みで、使用済み核燃料を再処理したウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)を効率良く燃やすことができるのがウリ。巨額の国費を投じたものの実用化に至らず、16年に廃炉を決めた高速増殖炉「もんじゅ」に代わる次世代高速炉として期待されていた。

「『もんじゅ』を廃炉にしたのは、原発大国であるフランスとの共同開発で次世代高速炉が実用化可能という期待があったからです。それで核燃料サイクルの旗を降ろさずに済んだ。すでに米英独は高速炉計画から撤退していて、ここでフランス政府まで凍結となれば、わが国の原発政策への影響は計り知れません」(経産省関係者)

 行き場の決まっていない“核のゴミ”が増え続ける中で、安倍政権が原発再稼働を推し進めてきたのは、あくまで「核燃料サイクル」という建前があるからだ。フランスとの「アストリッド」共同計画は、日本の原発政策の生命線だった。それがパーになれば、エネルギー政策の抜本的な見直しを迫られかねない。安倍政権にとっては死活問題だ。

 共同開発の凍結宣言は、ルノーの筆頭株主であり、日産との経営統合を進めたいフランス政府からの脅しとも受け取れる。

 フランスのマクロン大統領は、ゴーン逮捕や日産とルノーの今後について、アルゼンチンで開かれているG20に合わせて安倍首相との協議を要請。日本側は、「せいぜい立ち話程度」(官邸関係者)の方針で調整してきた。結局、2人は日本時間1日未明に会談したが、原子力を取引材料にマクロンから脅しをかけられたのではないか。

 仏経済紙レゼコーによれば、あるフランス政府顧問は「権力闘争になれば、われわれは大砲を持ち出し、ルノーに対して日産株の出資比率を上げるよう要請する用意がある」と話したという。

「大砲」とは何を意味するのか。日本の原発が人質にされているのか。

「福島原発の事故処理も日本だけではどうにもならない。これまで使用済み核燃料の再処理は大部分をフランスやイギリスに委託してきたし、いつになったら稼働できるのか分からない六ケ所村の再処理工場にしても、フランスの技術に頼りきりです。フランス政府は、日本にとって一番痛いところを突いてきた。日産の問題では、今後も目に見えにくいところで揺さぶりをかけてくるでしょう」(経済評論家・斎藤満氏)

 30日、東京地裁はゴーンと前代表取締役グレッグ・ケリー容疑者(62)の勾留10日間延長を決定。期限の12月10日には再逮捕に踏み切る可能性もある。事件が長引くほど、フランス政府からの脅しもエゲつないものになりそうだ。

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