日ロの二の舞か…安倍首相「無条件で日朝首脳会談」の皮算用

日ロの二の舞か…安倍首相「無条件で日朝首脳会談」の皮算用

人気取りパフォーマンスで渡り合えるのか(C)共同通信社

「条件をつけずに金委員長と会い、率直に、また虚心坦懐に話し合ってみたい」――。3日付の産経新聞のインタビューで、安倍首相が日朝首脳会談への意欲を示した。これまで「制裁と圧力」一辺倒だったのに、唐突な方針変換だ。日朝会談で支持率アップなんて、もくろみ通りにいくのかどうか。絵に描いたモチに終わるのではないか。

 連休前から囁かれていたのが、電撃訪朝で日朝首脳会談、拉致問題解決の期待感を高めて衆参ダブル選になだれ込むシナリオ。ついに安倍首相自身がインタビューで明らかにした。

「拉致問題の解決には、国際社会と緊密に連携しつつ、わが国が主体的に取り組むことが何より重要です」

「まずは現在の日朝間の相互不信の殻を打ち破るためには、私自身が金委員長と直接向き合う以外はない。ですから条件をつけずに金委員長と会い、率直に、また虚心坦懐に話し合ってみたい」

 何を今さら、という感じだ。拉致問題の当事国が主体的に動くのは当たり前で、2002年に5人の拉致被害者が帰国して以来、「拉致の安倍」を売りに首相に上り詰めながら、何もしてこなかったのは誰なのか。

 つい最近まで、北朝鮮への「最大限の圧力」を国際社会に説いて回り、昨年の米朝首脳会談も実現を阻もうとしたのが安倍政権の対北朝鮮外交だったはずだ。それが突然、「無条件で会う」と言いだした。

「連休明けの9日から12日まで訪米する菅官房長官が、当地で北朝鮮高官と接触するという情報もあります。9日にワシントンでペンス副大統領らと会談した後、ニューヨークに移動して、国連本部で行われるシンポジウムに拉致被害者家族と共に出席する予定ですが、その他の日程が明らかになっていない。北朝鮮側と極秘に会って、食料支援などを呼び水に日朝首脳会談について話し合うのではないかとみられているのです」(大手紙の官邸担当記者)

■成果が上がるのかは不透明

 だが、無条件で会うことにはリスクがある。北朝鮮は「拉致問題は解決済み」の立場だから、かえって解決の糸口を失いかねない。戦後補償の問題もある。仮に日朝会談が実現しても、何の成果があるのか不透明だ。

「成果がゼロでも、日本側は会えればそれでいいのでしょう。拉致問題解決の期待を振りまいて、選挙前に一時的にでも支持率が上がればいいと考えているのだと思う。日朝の国交正常化は、本気で取り組めば大変な作業になる。場当たりで首脳会談をしたところで、本質的には何も解決しません。しかし、口から出まかせでも、御用メディアが“サプライズ会談”などと持ち上げて拉致問題解決の期待感をあおれば、国民はダマされてしまう。安倍政権の外交は、いつも“やってるふり”だけで、過度な期待をすれば裏切られる。日朝会談の実現も疑わしいと思います」(元外交官の天木直人氏)

 人気取りのパフォーマンスで、シタタカな北朝鮮を相手に渡り合えるはずがないのだ。日朝会談が実現したところで、いいとこ取りされるのがオチ。経済協力だけ食い逃げされて、北方領土は1平方メートルも返ってこない対ロ交渉の二の舞いになりかねない。

 国民の失望が大きければ支持率ガタ落ちの可能性もありそうだ。

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