「令和」の選挙は政治活動と選挙運動の境界を明確にすべき

「令和」の選挙は政治活動と選挙運動の境界を明確にすべき

こんなに小さく演説会の告知が(C)日刊ゲンダイ

【ここが変だよ日本の選挙】(6)

 令和の選挙はどのような形がふさわしいだろうか? 以下、衆院選を例に私案を示してみる。

 候補者陣営がいつも悩むのは、「この活動は政治活動と選挙運動のどちらに該当するのか」という問題だ。両者の境界が微妙な活動について、これは「政治活動」、これは「選挙運動」とハッキリ示したガイドラインを作成してはどうか。

 衆議院が解散されると世の中は選挙モード一色になるので、解散後の政治活動は100%選挙運動と言ってよい。したがって、公示日以降はしっかりと選挙運動をしてもらうが、それ以前、特に解散日から公示日前日までは選挙運動を抑制するのが基本形だと思う。

 この基本に照らせば、ビラ(後援会だより・政党機関紙号外)のポスティングや新聞折り込みについては、解散前は政治活動として容認し、解散後は全面禁止(つまり選挙運動に該当)としてはどうか。街頭演説も、解散してから公示日前日まで、候補予定者は立候補する選挙区での演説を禁止することが望ましい。

 ポスターについては、現行制度で解散後に唯一認められている政党主催の演説会告知のものも禁止した方がスッキリする。解散前のポスターの扱いはなかなか難しいのだが、立候補予定者のスタートラインをできるだけ揃えるという観点から、任期満了の1年半前以降は後援会主催の演説会告知ポスターも含めて顔写真と名前の掲載を禁止するくらいの措置を取ってもいい。

 というのも、演説会を告知するポスターは、立候補予定者らの顔写真と名前がスペースのほとんどを占め、演説会の日時と場所は小さく記されている場合が多く(写真)、演説会告知に名を借りた事前の選挙運動と言わざるを得ないのが実態だからだ。ぜひ、近所に貼ってあるポスターをチェックしてみてほしい。政治活動と選挙運動の線引きが曖昧だから、こうした“違法スレスレ”の行為が横行している。

 1年半前としたのは、最近10回の衆院選は任期満了の平均11カ月前に行われており、その半年前ごろから制限するのが妥当だと考えるからである。参院選については、政党主催の演説会ポスターも任期満了日の半年前以降は禁止でいいだろう。

 ほかにも検討すべき事柄はたくさんある。ガイドライン作成の実務は公職選挙法を所管している総務省選挙部が担うのが妥当だが、現職議員の生死に関わる問題なので、役所が進んで着手するのは無理だろう。与野党とも、民主主義を機能させるという国家運営の大局に立って後押ししてもらいたい。

(近藤学/早大理工総研招聘研究員)

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