安倍政権が労働者イジメ 経営者が首切り自由の“改悪制度”

安倍政権が労働者イジメ 経営者が首切り自由の“改悪制度”

目的は、いかに合法的に労働者をクビにできるかーにある(C)日刊ゲンダイ

残業代ゼロの働かせ放題になるとして、国民から非難囂々の「裁量労働制の拡大」や「高プロ(高度プロフェッショナル制度)」に続き、安倍政権がまた新たな労働者イジメの制度をブチ上げた。職務や勤務地、労働時間などを限定して労使間で雇用契約を結ぶ「ジョブ型正社員(限定正社員)」のことだ。

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 20日の日経新聞は〈「限定正社員」の職務・勤務地など明示 企業に義務化 規制改革会議が提言〉と題し、〈政府の規制改革推進会議は職務や勤務地、労働時間を限定する「ジョブ型正社員」の法整備を提言する。労働契約を結ぶ際に、職務や勤務地を契約書などで明示するよう義務付けるのが柱だ〉などと報じた。

 記事では〈雇用期間の定めがなく社会保険にも加入でき、非正規社員より待遇が安定している〉〈ジョブ型正社員は職業能力に応じて賃金が決まるため労働市場の透明性が高まる〉などとメリットが強調されていたが、見逃せないのは次のくだりだ。

〈解雇や労働条件を巡る労使間の紛争を避ける狙いがある。企業は契約時の職種や拠点がなくなったらジョブ型正社員を解雇できる〉

 要するに「正社員」扱いはするものの、経営者はジョブ型の雇用契約で示した「限定条件」がなくなったら、いつでもクビ切りが可能になるということ。極論すれば、リストラを考えている労働者に対し、何だかんだと理由をつけてジョブ型契約を結び直し、その後、職場や工場などの廃止、閉鎖を理由にクビを切ることもあり得る。

 おそらく国や経営者団体は「しっかりとルールを作って安易なクビ切りはしない」とか言うのだろうが、まったく信じられない。規制改革会議は2015年、カネさえ払えば自由に解雇できる「解雇の金銭解決」制度の導入を求める意見書を提出しているからだ。

 ジョブ型正社員の制度を導入したい目的が「非正規の雇用安定」ではなく、いかに自分たちにとって都合よく合法的に労働者をクビにできるか――にあるのは一目瞭然だ。

 労働問題に詳しい「ブラック企業被害対策弁護団」代表の佐々木亮弁護士(旬報法律事務所)はこう言う。

「ジョブ型正社員とは、労使間で雇用契約を結ぶ際、あらかじめ勤務地や業務内容などを限定するものですが、現行でも同様の雇用形態はあり、新たな雇用形態を作るわけではありません。そもそも労働者を整理解雇するには、人員整理の必要性や解雇を回避するための努力義務の履行などが必要で、ジョブ型正社員だからといって雑に解雇していいわけではない。ただ、最近の(裁量労働制や高プロ制度の導入を進める国や経営者の)傾向を見ていると、『ジョブ型』とか『限定』という言葉のイメージを使って、解雇規制のハードルを下げたい思惑があるのではないか」

 庶民のフトコロはちっとも潤わず、労働者は低賃金で長時間労働を強いられ、クビにおびえる。安倍政権が大はしゃぎでアピールしていた「戦後最長の好景気」とは一体、何なのか。

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