自分の一票は…無党派層が聞きたいのは本気のストーリー

自分の一票は…無党派層が聞きたいのは本気のストーリー

(C)日刊ゲンダイ

【ここが変だよ日本の選挙】(9)

 私は昭和が大好きだ。建物、街並み、音楽、雑誌、喫茶店……。すべて昭和のものが好きだ。しかし、選挙のやり方は嫌いである。そう思ったきっかけは、政党の選挙対策の部署で候補者の擁立作業をしていた時の出来事だ。

 何人もと会って話をしてみて、「これほど優れた人たちが落選、しかも惨敗したのか」とショックだった。彼らはなぜ当選できなかったのかと考えた。そして、風が吹く・吹かないとは別に、選挙運動のスタートラインが候補者によって大きく異なるなど、選挙の仕組みが根本的に問題だという結論に至った。

 本連載の第6回と第7回で改革案を示したが、実現すれば、当局にはこれまで以上に頑張ってもらいたい。例えば、違反ポスターには候補者陣営に撤去を要請するという現在の甘い対応ではなく、違反ステッカーを新たに作ってどんどん貼ればよい。さらに、全ての違反事案をネットで迅速に公開すればよい。

 ところで、各種の選挙運動はどれくらい効果があるのだろうか? 選挙運動期間中に有権者が見たり聞いたりしたものとその中で役に立ったものに関するアンケート結果から抜粋した(図)。迷惑度合いも考慮に入れれば、連呼と電話勧誘については効果がマイナスの可能性すらあるだろう。

 今後は新たな選挙運動の手法が出てくるかもしれない。例えば街頭演説の応援弁士を、通常の政治家ではなく地元の一般人(後援会の人でもない)にお願いすれば、無党派層の共感を得やすいのではないか。

 また、新人候補は現職議員に公開質問状を送り、リアルな場で討論して動画で中継するなど、道場破り的な作戦も考えられる。各候補者や政党は、昭和から変わらない「選挙の常識」から脱却し、柔軟な発想で勝負してもらいたい。

 選挙の土台を一新した上で、極めて大切なのは候補者が語る中身である。有権者、特に無党派層は、自分が一票を入れると住んでいる地域や国がどう変わるのか、そのストーリーを聞きたいのだ。政治家を志した原点に立ち返り、これだけは成し遂げたいという政策を語ってもらいたい。「お願いします」「頑張っています」「あと一歩です」ではレベルが低すぎる。

 さらに現職議員であれば、任期中に「できたこと」と「できなかったこと」を率直に語ってもらいたい。

 有権者は私心のない本気の候補者を求めている。有権者の心に火をともせれば、SNSによる拡散の準備は完了したようなものだ。 =つづく

(近藤学/早大理工総研招聘研究員)

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