北方領土での共同経済活動 安倍政権がつかまされた“残りカス”

北方領土での共同経済活動 安倍政権がつかまされた“残りカス”

プーチン露大統領は態度をどんどん硬化(C)ロイター

いつまで“外交の安倍”の幻想を振りまくつもりなのか。自民党は参院選公約のトップに「外交・防衛」を掲げ、「力強い外交・防衛で、国益を守る」とうたっているが、7年に迫ろうとする安倍政治で国益はむしろ失われる一方だ。ロシアとの平和条約締結交渉が暗礁に乗り上げる中、ロシアは北方領土の実効支配を強めている。

 ロシアは国後、択捉両島の軍事拠点化を進め、色丹島では経済開発を進めている。色丹と歯舞群島は、1956年の日ソ共同宣言で平和条約締結後の日本への引き渡しが明記されているにもかかわらず、である。色丹島では7月中旬にもロシア資本の水産加工場が稼働するという。延べ床面積約7750平方メートルにのぼり、マイワシやサバ、スケトウダラを冷凍の切り身などに加工。日量900トンの処理能力を持ち、同じ敷地にある既存工場の日量200トンを合わせると、ロシア最大級となるという。

 日ロは先月末、日本が3000億円規模で投資する北方領土での共同経済活動の早期具体化を外相会談で合意したばかりだ。河野外相とラブロフ外相による会談は、平和条約締結に向けた交渉責任者として4回目の協議だったが、こちらは成果なし。ロシアの関心が高い共同経済活動の調整を急ぎ、海産物の養殖、温室野菜の栽培、観光ツアー開発、風力発電の導入、ごみ減らし対策――の5項目の実現促進を確認した。

■オイシイ資源はロ中で分配

 筑波大教授の中村逸郎氏(ロシア政治)は言う。

「北方領土は漁業資源の宝庫。色丹島には中国資本の缶詰工場なども展開し、オイシイところはすでにロシアと中国が分け合っています。漁業をめぐって日本側にうまみがあるのは販路が広いコンブやサケ、カニなどですが、中国が権益を握っているため、袖にされてしまった。代わりにウニの養殖が振り分けられたわけですが、これは中国人がほとんどウニを食べないためです。ウニの養殖にしたって、技術提供がメインで加工工場を運営できるわけではない。その上、販売先は日本ですから、日本は支援させられるだけで、カネはロシアに落ちるという青写真なのです」

 共同経済活動の具体化に向けた外務省の局長級作業部会が11日、都内で開かれるというが、ロシアの食い物にされるだけなのは目に見えている。


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