反トランプ・民主ペロシ議長が狙うのは弾劾より「投獄」

反トランプ・民主ペロシ議長が狙うのは弾劾より「投獄」

トランプ米大統領の“ロシア疑惑”は続いている/(C)ロイター

【大統領再選 トランプ包囲網現地リポート】#1

 日米貿易交渉で安倍首相と「参院選後」の“密約”を交わしたトランプ米大統領。その心は「次はオレの選挙に協力しろよ」といったところだろう。いまトランプの最大の関心事は来年の大統領再選。しかし、雲行きが怪しくなってきた。ジャーナリストの堀田佳男氏が現地の最新取材をリポート。

  ◇  ◇  ◇

 米首都ワシントンの中心部に建つ連邦議会議事堂。白亜の巨大ドームの南側に、レイバーン議員会館がある。下院司法委員会が位置する同館の廊下では今月5日、議員やスタッフ、報道関係者が慌ただしく動き回っていた。

 大柄な黒人議員が記者の前に現れた。司法委員会に所属するセドリック・リッチモンド議員だった。

「トランプを弾劾することが民主党としては最良の方法だと考えます。それはロシア疑惑を清算することにもなります。ロシア政府と共謀した可能性があるし、少なくとも司法妨害を行ったといえます」

 はっきりした口調で司法妨害という言葉を使ったと同時に、トランプ弾劾にも言及した。意志の強さを感じるほど明瞭な言い回しだった。

 ロシア疑惑がまだ続いている……。

■現状懐疑派がジワジワ拡大

 約2年におよんだロシア疑惑の捜査報告書は4月に公表され、トランプは「潔白」を誇っていた。だが5月29日、モラー特別検察官は会見で、司法妨害の「疑惑は払拭できていない」と述べたのだ。

 それを受けて、下院司法委員会の半数以上の議員はいま、トランプ弾劾に「賛成」の意向だ。議会で取材した複数の関係者から、ジェロルド・ナドラー同委員会委員長が「なんとしてもトランプを弾劾する」と意気込んでいる話を聞いた。

 だがナンシー・ペロシ下院議長は弾劾に賛成していない。実は今年3月、同議長は「弾劾手続きによって国家の分断がさらに深まるだけ」との理由で反対を表明した。仮に下院で弾劾法案が通過しても、上院でトランプを罷免させるためには3分の2以上の賛成票(67票)が必要になる。現在、共和党が過半数を握る上院では、67票を得ることは困難との読みもある。

 ペロシ議長が望んでいるものは別にある。「トランプ投獄」である。弾劾ではなく起訴して有罪を勝ち取り、刑務所に送り込むことなのだという。反トランプの動きは今、ここまで進んでいる。

 しかも過去数カ月、次期大統領選に関するほとんどの世論調査で、民主党ジョー・バイデン候補がトランプを10ポイント前後リードしている。多くの有権者の心中に「トランプが大統領のままでいいのか」との冷静な思いが去来していることは確かなようだ。 =つづく

(堀田佳男/ジャーナリスト)

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