横浜市がカジノ誘致表明 林市長は「住民投票するつもりない」と断言

横浜市がカジノ誘致表明 林市長は「住民投票するつもりない」と断言

横浜市がIR誘致表明  記者会見する横浜市の林文子市長=22日午後、横浜市役所(C)共同通信社

ついに神奈川県横浜市が、カジノ誘致を表明した。

 同市の林文子市長が8月22日午後の定例記者会見で、IR(統合型リゾート)の誘致に乗り出すと表明したのである。候補地は山下ふ頭である。

 それまではIR、つまりカジノについては「白紙」「判断材料がない」などと明言を避けてきた林市長。今回、7月末に決断したと語ったが、判断を発表するに至った明確な理由を記者から問いただされてもはっきりと説明できなかった。ようやく口から出たのは「今の時期で決めないといけない」とタイミングの話、食い下がる記者には「ご質問の趣旨がわからない」と逆切れ気味だった。

 カジノ誘致に反対している横浜港湾関係者は話す。

「白紙だと言って横浜市民を騙してきましたが、このタイミングで議会に上げないと間に合わないから、表明せざるを得なくなったのです。カジノ誘致には予算が必要になりまが、9月の市議会で予算の項目にあげて、来年1月からの予算案に盛りこまないといけない。そして来年1年をかけてカジノについて審議することになります。本来はカジノを項目に入れるかどうかの段階で議論すべきですが、市長はそれもしなかった。これでいよいよ反対派の火に油を注ぎましたね」

■住民投票はしないと断言

 横浜市民の大多数の民意はカジノ反対とされる。市が実施したパブリックコメントでも、94%が「市民の意見を聞くべき」などと反対した。6月末の横浜市の説明会でも「反対の声が多かった」(参加者)という。あまりにも反対の声が多いため、ギリギリまで林市長はカジノ誘致を表明できなかったというところだろう。

 その反動か、立場を明らかにした林市長はカジノを強硬に推進していく姿勢を何度もあらわにした。その最たるものは、「住民投票はするつもりはない」と断言してしまったことだ。

 しかし、住民投票を実施するかしないかについて市長に判断権限はない。投票資格者の50分の1の以上の有効署名が集まり、住民から住民投票条例制定の直接請求があれば、林市長は市議会を召集し、最終的な判断を市議会の審議に委ねなければならないからだ。沖縄県では2019年2月、米軍基地建設について県民投票が実施されたことは記憶に新しい。

 より民意を表す直接民主制の住民投票をやらないと林市長は断言してしまったことは、選挙で選ばれた政治家としての資質が問われる話。林市長の発言が法的におかしいのでは質問も出たが、市長は「しっかりと受け止めます」と返事。市長は自公推薦で市長選を戦っており、横浜市議会も自公が与党。市長選には地元選出の有力者、菅義偉官房長官も駆けつける関係だ。カジノを推進する官邸に逆らうはずもない。

 今後は、横浜市18区で住民説明会をアリバイ的に開き、市民の声が反映される賛否のアンケートはなどは避け、自公多数派の市議会で可決する――。市長が描くカジノ誘致のスケジュールが透けて見える。

 ギャンブル依存症や治安の面で問題視されるカジノ誘致をめぐり、ハマの対立は深まっていく。

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