専門家に聞いた 米国押し売り“空対地ミサイル”は必要か?

専門家に聞いた 米国押し売り“空対地ミサイル”は必要か?

空自が導入予定のF35戦闘機(C)共同通信社

 今月8日、ドイツG20の合間に行われた日米首脳会談。一部報道によれば、安倍首相はトランプ大統領に「防衛装備品の購入」を迫られたという。

 今さら米国にタカられても驚かないが、既にその予兆はあった。先月26日付の読売新聞1面に「F35に空対地ミサイル政府検討」の見出しが躍った。記事によると、政府はステルス戦闘機に射程距離300キロのジョイント・ストライク・ミサイル(JSM)を搭載する検討を始めたという。

 JSMは英米やノルウェーなど9カ国が1500億円をかけて開発中の最新鋭ミサイル。空自がJSMなどの空対地ミサイルを導入すれば、敵基地攻撃能力を持つことになり、専守防衛との兼ね合いが問題となる。

 安倍首相も国会で「敵基地攻撃能力を(自衛隊が)保有する計画はない」と答弁してきたが、その口で北朝鮮のミサイルの脅威をあおってきた。その勇ましい姿勢にツケ込んだのが、トランプというわけで、なるほど、取引上手な男である。

 空対地ミサイルは種類によって1発あたり8000万円近くする。はたしてトランプに押し売りされる空対地ミサイル導入にそれだけの値打ちはあるのか。軍事評論家の田岡俊次氏が分析する。

「JSMやトマホークなどのミサイルは、目標の詳しい位置が分からないと攻撃できません。偵察衛星で分かる、と思っている自衛隊幹部もいるが、偵察衛星は時速約2万7000キロで周回し、北朝鮮上空は1日約1回、1分間ほどで通過する。自走発射機に載せ、山岳地帯のトンネルなどに隠した弾道ミサイルは出てきて10分程度で発射可能だから、偵察衛星による発見はほぼ不可能です」

 赤道上空の高度約3万6000キロで回る静止衛星も、地上のミサイルなどは遠くて見えず、発射の際に出る赤外線を探知できるだけだという。攻撃には間に合わない。

「無人偵察機を多数、北朝鮮上空で常に旋回させておけば移動発射機の動きをつかめるが、領空侵犯だから、旧式のミサイルでも簡単に撃墜されてしまいます」(田岡俊次氏)

 つまり攻撃能力うんぬん以前の問題なのだ。さらに“お笑い”なのが見切り発車の防衛戦略だ。実は空自が導入予定のF35にはJSMを搭載する能力がない。つまり、戦闘機のシステムをアップグレードしなければ、空対地ミサイルも無用の長物。実際に活用しようとすれば、さらに予算が必要になる。

 いつまで、血税を無駄に使い続けるのか……。

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