汚染処理水発言で物議 “何でも屋”進次郎氏は農業や社会保障も実績ゼロ

汚染処理水発言で物議 “何でも屋”進次郎氏は農業や社会保障も実績ゼロ

福島県大熊町役場を訪れ、あいさつする小泉環境相(C)共同通信社

【小泉進次郎という生き方】#3

 特定分野に精通して関連省庁に影響力を及ぼす議員を族議員という。その点でいうと、環境相に抜擢された小泉進次郎氏は決して環境問題に詳しいわけではない。11日の初会見では、イノベーションを連発したが、具体策には乏しく、前任者の原田義昭氏の発言を感情論で“否定”してみせた。国民受けする内容でアピールしたかったのかもしれないが、かなり心配な船出だ――。

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 問題の発言は、東京電力福島第1原発の汚染水浄化後の処理をめぐるもの。原田氏は、個人的な見解と断りつつ、「希釈して海に流すしか解決策はない」と発言。それを受けて、福島・小名浜の漁連会長を「すばらしい人」と持ち上げた上で、「福島の人が傷つくことのないような議論をしていただきたい」と熱弁をふるっている。

 政治評論家の有馬晴海氏が言う。

「小泉氏も指摘した通り、汚染水浄化後の処理は経産省の管轄です。小委員会で議論が重ねられていて、その方向性について個人的見解を述べたに過ぎませんが、根拠なく感情論で否定したのはまったく勉強不足。政治的にはこれまで成果がありませんから、原田氏との違いをアピールすることで実績づくりを急いだのでしょうか」

 米軍基地が身近にある環境で育った38歳は、関東学院大を卒業すると、米国に留学。コロンビア大大学院でジェラルド・カーティス教授の指導を受けると、留学3年目にはCSIS(戦略国際問題研究所)の研究員に。

 当時の日本部長は、ブッシュ政権のNSC(国家安全保障会議)上級アジア部長を務めたマイケル・グリーンだ。

■「何でも屋は、何にもないや」

 そんな米国人脈の影響かTPP推進派で、票田の農家が反発する中、2015年10月に自民党農林部会長に就任。儲かる農業を掲げ、農業金融改革で農林中金解体論を模索したり、JA全農の株式会社化を推進したりするが、失敗に終わる。社会保障改革では、健康な人の保険料を割り引く健康ゴールド免許や、児童手当を拡充するためのこども保険をぶち上げたが、サッパリだ。

「農業や社会保障に取り組むオールマイティー族ですが、『何でも屋は、何にもないや』なんて陰口を叩かれるほどで、実績はありません。その一方で親米発言は随所に聞かれます。たとえば、2011年、当時の谷垣禎一自民党総裁が『米国と組み過ぎて、中国やアジアを排除するのはよくない』と発言すると、『耳を疑う』と猛反発。さらに参院の定数増問題では当初、反対していましたが、最終的に賛成に回っています。実績不足なので、親米を軸にして、政治的に致命傷にならないところで造反してアピールしていたのですが、内閣に入ったら、そんな立ち回りはできません。どう振る舞うか見ものです」(有馬氏)

 年金問題では、64歳までの現役世代と65歳以上の高齢者の定義を見直し、現役世代の上限の引き上げを提案。そんな「人生100年型年金」の意味するところは、なるべく年金を受給する年齢を遅らせ、死ぬまで働けということだ。

「汚染処理水問題は、自らの発言でハードルを上げた。政治は結局、数の力で結果を出せるかが勝負です。国民の期待感が高まると、実現できなかったときの反動も大きい。今後も首相候補でいられるか正念場です」(有馬氏)

 元首相の父・純一郎氏は15日の茨城県日立市での講演後、「彼は勉強家でね。私より勉強している。環境は日本でも世界でも、一番大事な問題。環境大臣でよかったなと思っている」と息子を褒めた。仮に勉強量が十分なら、やり方や方向性を間違えているのかもしれない。

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