存在意義高まる副市町村長 “森山予備軍”はあちこちに潜む

存在意義高まる副市町村長 “森山予備軍”はあちこちに潜む

副市長らの逮捕を受け謝罪する静岡県磐田市の渡部修市長(右)/(C)共同通信社

【“役所のドン” 助役の実態に迫る】

「勝手な判断で、犯行を主導し、市民の市政に対する信頼を裏切った」

 今年6月、静岡地裁の法廷で、判決文を読む裁判長を被告席からじっと見つめる白髪頭の初老のスーツ姿の男が立っていた。磐田市前副市長の鈴木裕被告だ。同市が発注した複合施設の設備改修工事を巡る入札情報漏洩事件で公競売入札妨害の罪に問われ、懲役1年6月、執行猶予3年(求刑懲役1年6月)が言い渡された瞬間だった。

「影の市長」。役所内で職員からこう呼ばれていた鈴木被告は、もともと旧豊田町総務課長。町が2005年4月に磐田市と合併すると、鈴木被告は企画財政部長などを経て、11年4月に副市長に就任。市の予算や人事を取り仕切った。「市行政の表から裏まで知り尽くしている」と評された男が「カネ」と「ヒト」を握ってから、不正に手を染めるまで、そう時間はかからなかった。

 市町村合併に伴う自治体規模の拡大や行政の多様化・複雑化とともに首長直轄のスタッフとして存在意義が高まる副市町村長。かつての小規模自治体の助役の位置付けだが、今や大都市だけでなく、中規模の自治体でも複数の副市町村長を置く傾向にある。選挙で選ばれる首長の中には行政経験の乏しい人物も少なくないため、経験豊富な補佐役として副市町村長を起用するのだ。

 だが、関電裏金事件でも、関電幹部や業者が元助役の森山栄治氏(故人)の自宅に列をつくる「森山詣で」が慣例になっていた通り、力のある補佐役ほど、業者と癒着する可能性が高まり、中には首長を公然と批判する副市長も出てくる。

「市の政策を外部で批判するなど市長の補助機関としての役割を果たしていない」

 4日、福岡県行橋市の田中純市長は任期途中の松本英樹副市長の解職を発表。松本氏は議会事務局次長、総務部長などを歴任したプロパー職員だが、田中市長の意に反する議会答弁などが問題視されたのだった。

「副市町村長に権力を集中させず、後継者を育てる仕組みが必要。そうしないから、役所内の職員らが絶対服従にならざるを得なくなる。退職後も一定の影響力を持つようになるのはそのためです」(埼玉県狭山市民オンブズマン・ネットワーク代表幹事の田中寿夫市議)

 全国の自治体のあちこちに「森山予備軍」は潜んでいる。(おわり)

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