問題と正答例を事前閲覧 入試に乗じるベネッセの“カンニング商法”

問題と正答例を事前閲覧 入試に乗じるベネッセの“カンニング商法”

犠牲になるのは受験生(C)共同通信社

悪評ふんぷんの大学入学共通テストの国語と数学の記述式問題。約50万人の解答を約1万人の採点者がわずか20日間で採点する。短納期をこなすため、採点業務を請け負う「ベネッセ」の子会社「学力評価研究機構」が入試実施前に「問題と正答例」を閲覧するというから驚きだ。

 大学の入試問題は、採点者でも当日まで見られない門外不出。なぜ、事前に“カンニング”させるのか――。「大学入試センター」に聞いた。

「採点マニュアルを用意するため、事前に問題を見てもらう必要があります。機構の若干名だけがセンターが指定する場所で閲覧します。私物の持ち込みやメモは禁止で、見るだけ。さらに、守秘義務で他言は厳禁です。若干名はセンターが承認します。例えば、身内に受験生を持つ人はNG。時期は必要な時期ということで具体的には決まっていませんが、入試日よりすごい前ではありません」(事業第2課の担当者)

■模擬試験や対策講座が大人気に?

 事前漏洩の懸念は払拭できないが、もっと問題なのが、すごい前ではなくとも、事前に教育ビジネスを展開する民間業者が入試の中身を知ることだ。同業他社に圧倒的な差をつけられる。入試本番の「問題と正答例」を知っている子会社を持つベネッセが行う模擬試験や対策講座は受験生には魅力的に映るからだ。

 入試改革問題に詳しい東大教授の阿部公彦氏が言う。

「採点者の親会社が行う対策が有効なのかは別として少なくとも受験生は期待しがちになります。ましてや子会社が事前に問題と正答例を知ることになればなおさらです。期待で顧客が増えれば、ビジネスは成り立ちますが、入試に乗じた不適切なやり方だと思います」

■大学入試センターは「期待するのは勝手」

 対策ビジネスについて、前出のセンター担当者に問うと「採点を行う機構は関連会社とはいえ、ベネッセとは別会社です。閲覧者が『問題と正答例』をベネッセに伝えることはありません。もしそんなことがあったら守秘義務違反です。(ベネッセの対策などに)受験生が期待するのは勝手ですが、効果がないのだから期待しない方がいいと思います」と答えた。

 13日の衆院文科委で、城井崇議員(国民民主)は、問題と正答例の事前開示について、漏洩や採点基準の改変などの懸念を示し、記述式の中止を求めた。萩生田光一文科相は「すでに契約行為を済ましておりますので、指摘いただいたことは一つ一つ解決をしてまいりたい」と契約を盾に、導入ありきの姿勢を崩さなかった。

「学力評価研究機構」は「センター」と、約61億円で採点業務の請負契約(2024年3月まで)を締結済みだ。中止すれば、多少のキャンセル料が発生するが、受験生を犠牲にしないための必要経費じゃないか――。「英語民間試験」「桜を見る会」に続いて、「記述式」もブレーキをかけるべきだ。

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