新国立劇場 五輪「後利用」計画に暗雲で“負のレガシー”まっしぐら

新国立劇場 五輪「後利用」計画に暗雲で“負のレガシー”まっしぐら

課題山積の新国立競技場(C)日刊ゲンダイ

東京五輪終了後に運営権を民間に売却する方針の「新国立競技場」を巡って、政府は今年半ばに事業計画を策定し、2020年秋に民間事業者を選定する予定だった。

 ところが19日、計画策定時期を20年秋以降に先送りすると決定。VIP席の位置など警備上の理由で図面を開示できず、事業者側から「採算性を判断できない」といった意見が出たからだ。今後、民営化に手を挙げる事業者が出てくるのか、新国立の「後利用」は不透明になってきた。

 日本スポーツ振興センターは19日の定例説明会で、既に複数の事業者と接触したと明かしたが、結局、新国立の後利用計画は曖昧なまま大会本番を迎えることになる。建設に巨額の血税をつぎ込んだ上、年間の維持管理費は24億円にも上る。早期に後利用計画を詰めるべきなのに、詳細が分かるのは大会終了後。手を挙げる事業者がいなかったら維持管理に税金が使われることになり、目も当てられない。

「維持管理費を『ペイ』するため、大会後は陸上トラックを撤去し、集客が期待できるサッカーなどの球技専用に改修する方針ですが、トラックを撤去すると機材の搬出入の動線が確保できないといった理由から、稼げるイベントであるコンサート開催が困難になる。トラックを撤去するか否か、現在も宙に浮いた状態です」(五輪担当記者)

 今年7月には、日本サッカー協会の田嶋幸三会長が運営権取得に前向きな姿勢を示したが、「どうやって収益を上げていくか知恵を出し合わないと」と懸念を表明。天井屋根や空調設備がない使い勝手の悪さも解消されておらず、課題は山積だ。

「後利用については以前から問題視されていました。ところが、12年に発足した『国立競技場将来構想有識者会議』で、『○万人収容できるスタジアムを』『理想のコンサート会場を』などと意見が出され、新国立の将来構想は肥大化していったのです。当時のメンバーが後利用問題をどれだけ理解していたのか疑問です。今からでも検証すべきでしょう」(建築エコノミストの森山高至氏)

 16年リオデジャネイロ五輪では、後利用計画が不十分で多くの施設が廃虚化。新国立も“負のレガシー”となる可能性が高まってきた。

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