共通1次から40年 なぜ「地域・経済格差」は問題視されず?

共通1次から40年 なぜ「地域・経済格差」は問題視されず?

衆院文科委員会に招致されたベネッセコーポレーションの山崎昌樹学校カンパニー長(C)共同通信社

【アベ政治の食い物に 教育行政の惨状】#6

 従来のセンター試験では全国約700カ所の会場を使い、受験生の便宜を図ってきた。それでも、離島や山間部に住む者にとっては、宿泊の必要があるなど地域格差がなかったわけではない。受験料も、国公立を目指す場合1万8000円と決して安くはない。それでも、前身の共通1次試験以来40年間にわたり、地域格差や経済格差が大きな問題とされたことはなかった。

 それは、公が行う試験だからだろう。国会で決めた法律に基づいて行われるということは、いわば国民的合意によるというわけであり、いくぶんの格差があったとしても受容する範囲内と感じられる。民間試験はそうではない。会場数も受験料も試験実施者の都合で決められ、大学入試センターも文科省も口出しできない仕組みだ。事実、今回明らかになったように会場数ははるかに少ないし、受験料も高額だったりする上、大学入学共通テストの受験料にさらに上乗せされる。

 どう考えても、入試センターで新しい英語試験を行う方が受験生にとっては安心ではないか。予算がかかるとしても、それは必要なコストだ。時間がかかって英語力向上が遅れてしまうというのなら、それが完成するまでの期間は、2次試験において各大学がそれぞれの判断で独自試験を行うなり民間試験を活用するなりすればいい。

 にもかかわらず、準備も議論も不十分なまま導入を実施しようとしていたのである。その過程では、入試センターが選定した試験実施7団体のうちTOEICが参加を辞退するなどの一幕もあった。また、唯一の営利企業(他は公益法人など)であるベネッセコーポレーションは、下村博文元文科相や文科省との利害関係の深さが週刊誌報道などで指摘されている。そうした疑念が起きないよう「李下に冠を正さず」の姿勢も必要だった。

 ベネッセに関しては英語だけでなく、2020年度から新しく実施予定の国語や数学の記述問題の採点を子会社に全面委託することも問題視されている。採点に大量のアルバイトを使うというのが受験生を不安にさせた。採点基準は当然、出題する入試センターが決めるものの、そのすり合わせのために問題を事前にベネッセ側に示す点には、漏洩の心配が生ずる。

 このため、記述問題についても導入中止を求める声が高まってきている。共通テスト初実施まで1年余りに迫った現時点でこれほどの問題続出は、異例の極みとしか言いようがない。

(寺脇研/京都造形芸術大学客員教授)

関連記事(外部サイト)