GSOMIA継続で規制緩和へ 安倍首相“韓国叩き”でも米国屈服

GSOMIA継続で規制緩和へ 安倍首相“韓国叩き”でも米国屈服

バンコク郊外で歓談する安倍首相(左)と韓国の文在寅大統領(韓国大統領府提供・聯合=共同)

急転直下の展開になった。韓国の文在寅政権が22日、GSOMIA(軍事情報包括保護協定)の継続を決めた。元徴用工訴訟にブチ切れた安倍政権が発動した対韓輸出規制に猛反発し、報復措置として破棄通告したのが8月23日。失効6時間前の決断の裏には、米国の強烈な圧力があった。その露骨なプレッシャーは、政権浮揚につながる韓国叩きに味を占めていた安倍政権にも向けられ、輸出規制の緩和をにおわせ始めた。日韓ともに米国に追い込まれ、膝を折るしかなくなったのが局面転換の真相だ。

 韓国政府が決定したのはGSOMIAの当面維持と、対韓輸出規制をめぐるWTO(世界貿易機関)の紛争解決手続きの中断だ。

 日本政府に伝達後、大統領府の金有根国家安保室第1次長がきのう午後6時に会見。GSOMIAについて「いつでも効力を終了させることができる前提で終了通告を停止させることにした。日本政府はこれについて理解を示した」とし、WTOについては「両国の輸出管理をめぐる政策対話が正常に進んでいる間は、日本側の3品目の輸出規制に対するWTO提訴の手続きを停止させる」と説明した。

 在韓ジャーナリストの朴承a氏は言う。

「一連の決定に最も影響したのは、米政権の圧力です。対中牽制でもあるインド太平洋戦略のために日韓を強く圧迫したようです。韓国にとっては、在韓米軍の駐留経費の分担をめぐる協議と重なったタイミングの悪さもあった。トランプ政権は今年の5倍超の50億ドルに増額するよう求め、交渉は決裂してしまいました」

 米国の要求をのまなければ在韓米軍の1個旅団(約3000〜4000人)の引き揚げ報道もあり、あの手この手で揺さぶりをかけられていた。

■最も安堵しているのはトランプ大統領

 大統領府とほぼ同時刻に経産省の飯田陽一貿易管理部長が会見し、輸出管理に関する局長級対話の約3年ぶりの再開を発表。輸出規制は当面継続するものの、「韓国側の適切な輸出管理の運用で、見直しの検討が可能になる」とした。その後、ぶら下がり取材に応じた安倍首相は「北朝鮮への対応のために日韓、日米韓の連携は極めて重要。私も繰り返し申し上げてきた。韓国は戦略的観点から判断したのだろうと思います」と上から目線だったが、振り上げた拳を下ろさざるを得なくなった事情は同じだ。

 上智大教授の前嶋和弘氏(現代米国政治)はこう言う。

「米政府の安全保障担当チームの動きは異例でした。スティルウェル米国務次官補(東アジア・太平洋担当)、米軍制服組トップのミリー統合参謀本部議長、エスパー国防長官らの高官が入れ代わり立ち代わり訪韓し、文在寅大統領と会談して翻意を繰り返し求め、前後して日本にも立ち寄って安倍政権にも同様のプレッシャーをかけていた。韓国とうまく折り合えるような手だてを練るように迫っていたのです。もっとも、GSOMIA継続に最も安堵しているのはトランプ大統領ではないでしょうか。一度たりともGSOMIAに言及せず、ツイートしたこともない。米国内で関心が低いこともありますが、来年の大統領再選しか頭にないトランプ大統領は、米朝首脳会談に意欲満々。GSOMIAを『戦争協定』と非難する北朝鮮の手前、継続を表立って求めることもできず、頬かむりを決め込んでいた。金正恩朝鮮労働党委員長がヘソを曲げかねないからです」

 一切動かずに国益を維持したトランプ大統領は、「シンゾーはよくやった、文もよくやった」とほくそ笑んでいるかもしれない。

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