国民不在の賃上げ交渉…医師会の“恫喝”に屈した自民厚労族

国民不在の賃上げ交渉…医師会の“恫喝”に屈した自民厚労族

原資を払うのは…(写真はイメージ)/(C)日刊ゲンダイ

【まだ貰うのか 国民が知らない 強欲医師の賃上げ闘争】#1

 永田町と霞が関を舞台に、国民不在の“医師の賃上げ交渉”が水面下で進められている。

 2017年に厚労省が公表した「賃金構造基本統計調査」によると、医師の平均年収は約1230万円。サラリーマンの平均年収、約430万円の約3倍に上る。その高給取りの医師の賃金を引き上げようと、日本医師会や自民党厚労族議員、厚労省の官僚らが水面下でうごめいているのだ。

 先月9日、自民党本部で「人生100年時代戦略本部」(本部長・岸田文雄政調会長)主催のヒアリングが行われ、日本医師会の横倉義武会長らが医療従事者の待遇改善などを巡り、意見を述べた。

 ヒアリングは非公開。部屋の外で多くのマスコミの記者が聞き耳を立てた。横倉氏は、医師をはじめとする医療従事者の待遇改善、社会保障費の増額によって、経済成長と地方創生が促されるなどとする持論を展開。最後にこう付け加えた。

「自民党の対応次第では(選挙で)野党に協力したらどうか、という声が医師会内部にある」

 この“恫喝”とも取れる発言を受け、医師会から献金や選挙応援を受けている自民党の厚労族議員が次々に発言し、横倉氏の主張を後押し。「ヒアリングはさながら日医の決起集会のようだった」(全国紙記者)という。

■大半は人件費に消える診療報酬

 あまり知られていないが、医師の給与の主な原資は国民が払う診療報酬だ。診療報酬の内訳は医師の技術料などが8割、2割が薬価など。技術料の約7割を人件費が占めるため、診療報酬の改定とは、取りも直さず日医主導の医師の賃上げ交渉に他ならない。

 診療報酬は2年に1度、年末に改定が議論され、今年も12月半ばに決定の見込みだ。最終的には厚労大臣が決定するが、「日本医師会などの圧力団体、厚労族議員と政府の力関係で改定率が決まる仕組み」(厚労省関係者)である。しかも今年は、主務官庁の厚労省の鈴木俊彦事務次官が“賃上げ”に前のめりで「賃金アップが既定路線になっている」(前出の厚労省関係者)という。

 国民が知らないところで医師の賃上げが決められていいはずがない。医師の賃上げ闘争の舞台裏をリポートする。(つづく)

(長谷川学/ジャーナリスト)

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