韓国の4月総選挙 米朝会談実現なら文在寅大統領に追い風

韓国の4月総選挙 米朝会談実現なら文在寅大統領に追い風

3月ころに米朝会談が実施されれば文大統領(右)には追い風に(C)ロイター

【2020年大胆予測】#3

 戦後最悪の日韓関係に出口が見えない中、韓国は来年4月の総選挙(定数300)に向かって走り出している。5年の任期を折り返した文在寅大統領にとって求心力を回復するか、レームダック化を決定づけるかの闘いだ。

 内憂外患に苦しむ文在寅の大敗はあるのか。革新系与党「共に民主党」で陣頭指揮を執るのは政権ナンバー2の李洛淵首相だ。「即位の礼」参列で来日中に安倍首相と会談した知日派。世論調査では次期大統領候補トップを独走中だ。月内に辞任し、党務に専念するという。韓国情勢に詳しい国際ジャーナリストの太刀川正樹氏は言う。

「李首相は7月に辞める予定でしたが、元徴用工訴訟にブチ切れた安倍政権による対韓輸出規制の発動で対日関係が悪化したため、時期がズレ込んだ。総選挙で勝利し、2022年の大統領選の弾みとしたい考えです」

 しかし、文在寅政権への逆風は収まらない。急激な賃上げで経済は混乱。対韓規制で屋台骨の半導体産業までガタつく。金看板の南北融和は仲介した米朝協議の膠着で停滞。在韓米軍駐留経費を巡り、大統領選再選しか頭にないトランプ大統領から5倍超の負担増を迫られる。

 さらに一難去ってまた一難。政権を揺るがした“疑惑のタマネギ男”゙国前法相の新たな醜聞が炸裂した。大統領府民情首席秘書官時代に蔚山市長選に介入、元釜山市経済副市長の収賄事件もみ消しに関与した疑いだ。検察が捜査中だが、世論はまだ静観ムードだ。

■対日融和が進む可能性も

 在韓ジャーナリストの朴承a氏はこう言う。

「変化が起こるとすれば、金正恩委員長の動向。最大野党の前院内代表が先月訪米した際、ビーガン北朝鮮担当特別代表に〈総選挙前に米朝首脳会談を開かないで欲しい〉と要請したほど。逆に、投開票が迫る3月あたりに会談が実施されれば、文在寅大統領には追い風になるでしょう」

 今国会では与党などが公選法改正案の成立を目指している。

「地域区の議席が253↓250に減る一方、比例代表は47↓50に増加し、ミニ政党に有利。与党が単独過半数を取れなくても、連立を組めば国会運営に苦労しないでしょう」(朴承a氏)

 文在寅の政権基盤が安定すれば対日強硬路線を再び強める見方もあるが、逆に国内の反日世論にとらわれずに済む。輸出規制を巡り対話が持たれるなど融和ムードも見えている。韓国経済の悪化を考え、総選挙後にその動きが加速する可能性もある。

 そうなると、「嫌韓」を人気取りに利用してきた安倍政権もケンカを仕掛けにくい。安倍シンパが鳴りを静める一年になるかもしれない。

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