カジノ利権で秋元議員を家宅捜索 中国企業と政界の接点となった日本人コンサル

カジノ利権で秋元議員を家宅捜索 中国企業と政界の接点となった日本人コンサル

秋元司衆院議員(左)の地元事務所の家宅捜索を終え、押収物を車に運び込む東京地検特捜部の係官(C)共同通信社

【経済ニュース深読み】

 北海道と沖縄と中国――。東京地検特捜部が、秋元司代議士の事務所に家宅捜索に入るなど、「17年ぶりの本格的な政界捜査」として永田町を揺るがせている外為法違反事件は、この三角形の中で発生している。

 接点となっているのはK氏だ。国内外の投資に関わるコンサルタントで、中国のネットカジノ企業の意を受けて、北海道のルスツリゾート(留寿都村)に、カジノを含む統合型リゾート(IR)を誘致しようと暗躍。きっかけは沖縄県日中友好協会事務局長としてIR誘致に関わったことだった。その工作に乗ったのが、超党派IR議連で副幹事長を務めるなど推進派で知られ、衆院内閣府副大臣としてIRを担当するポジションにいた秋元氏。

 具体的には、沖縄県で秋元氏を支える松本哲治浦添市長後援会のN事務局長が、秋元事務所のT元政策秘書につなぎ、K氏の主催で17年8月、沖縄にIRを誘致しようと、那覇市でシンポジウムを開いた。ところが、当時の翁長雄志県知事はカジノ反対派。そこで、急きょ舞台を北海道に移し、18年1月、ルスツを運営する加森観光(札幌市)を巻き込む形で、1500億円超の共同事業体が形成された。

 唐突感は否めない。中国企業は深?に本社を持つ総売上高3270億円の中堅とはいえ、IRの経験などないネットカジノ企業である。そこが17年7月、日本法人を都内に設立。1週間後には、シンポジウムで最高経営責任者が「沖縄はリゾート、買い物、カジノの3要素を満たせる場所。3000億円を投資する」とぶち上げた。その舌の根も乾かないうちに、北海道に飛んで道庁や村を相手に工作。IRは安倍内閣の成長戦略だが、依存症などの問題で反対派も多く、慎重に論義が進められてきた。また、サンズ、MGMなど経験豊富なアメリカのIR業者は、厳しい規制の中でカジノを運営。ただでさえ日本では警戒感の強い中国系で未経験の企業が、簡単に参入できる分野ではない。

 しかも、数百万円のカネを不用意に飛行機で持ち込んで事件のきっかけをつくったコンサルタントのK氏は、秋元事務所が家宅捜索を受けた翌日も能天気にブログを更新。上海の高級ホテルのバーを借り切って行った忘年会の様子をアップしている。世界に広がる人脈を誇示したいのだろうが、浮かび上がるのは「底の浅い人脈屋」という実像でしかない。

 それを受け入れたN、Tの両氏は、月に何度も会合する仲で、手掛けた事業も多いというが、カジノは「政界周辺者」が簡単に取り組めるものではないし、K氏の暴走を抑える器量もなかった。中国企業は事件発覚とともに逃走する素早さで、残されたのが地位と責任のある秋元氏である。「脇の甘さ」では片付けられない禍根を残す結果となった。

(伊藤博敏/ジャーナリスト)

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