米国とイランに“いい顔” 安倍政権がヒタ隠す中東派遣3つのリスク

米国とイランに“いい顔” 安倍政権がヒタ隠す中東派遣3つのリスク

官邸前では抗議が…(C)日刊ゲンダイ

安倍政権は27日、海上自衛隊の中東派遣を閣議決定した。同盟国の米国と友好国のイランの板ばさみとなった結果、中東でのシーレーン(海上交通路)の安全確保に向けた情報収集強化を名目とした玉虫色の派遣。イランへの配慮により、活動海域からホルムズ海峡とペルシャ湾が除かれた。

 菅官房長官は27日の会見で「今後、国民に丁寧に説明する」と繰り返したが、通常国会の召集は来年1月20日の予定。海自の一部はすでに現地に向かっている。中東派遣を既成事実化することで、3つのリスクについてはダンマリで通すつもりなのか。

 防衛省出身で内閣官房副長官補(安全保障担当)を務めた柳澤協二氏がこう指摘する。

「自衛隊にどんな任務があるのか曖昧なまま派遣が決まりました。情報収集が理由ですが、派遣される海域の洋上の危険性は海賊対策で散々調べている。日本関係船舶に対する陸上からの脅威を調べるとなると、洋上任務が効果的かは疑問です」

 今回の中東派遣は防衛省設置法4条の「調査・研究」に基づく。ソマリア沖アデン湾で海賊対処活動にあたるP3C哨戒機2機のうち、1機を使って来年1月下旬から活動を始め、哨戒ヘリ搭載の護衛艦「たかなみ」1隻を同2月上旬に派遣。約260人の隊員が同12月26日までの1年間、オマーン湾やアラビア海北部、アデン湾の3海域に限定し、公海上で活動する。

 菅官房長官は「日本関係船舶の安全確保に必要な情報収集体制を強化することが必要」の一点張りで、「調査・研究」の詳細についてはゴニョゴニョ。日本籍船が襲われるなどの不測の事態には武器使用も伴う「海上警備行動」が発令されるものの、安全を守る手だてはないという。

「海上警備行動を発令しても相手が『国や国に準じる組織』の場合、憲法や国際法に違反する恐れがある。海賊が襲ってきた場合は警察権を行使できますが、『国や国に準じる組織』からはタンカーを守ることができない。対抗すれば、イランとの衝突につながる恐れもあります」(柳澤協二氏)

 そもそも、トランプ米大統領の顔色をうかがい、政治的アリバイづくりで派遣決定したこと自体が問題だという。米国に妥協したことで「米国主導の有志連合の参加を断れなくなる可能性がある」(柳澤協二氏)からだ。

 衆院安全保障委員会の閉会中審査が同1月17日に予定されているが、一体どんな言い訳をするつもりなのか。

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