同志社大教授・浜矩子氏が問う 2020年気になる3つの「D」

同志社大教授・浜矩子氏が問う 2020年気になる3つの「D」

左上から時計回り ジョンソン英大統領、習近平中国国家主席、トランプ米大統領、メルケル独首相(C)ロイター

新しい年を迎えた今、2020年がどんな年になるのかを考えると、私は3つの「D」が気になります。

@Deglobalization(脱グローバル化)
ADecouple(分離)
BDisintegration(解体)

 帰らざる川だと思われていたグローバル化が、「一国主義」「我が国主義」によって逆流し、世界の国々がみな“引きこもり”になるという兆候がみられます。これが@です。「破グローバル」と言いたいところです。グローバル経済が破り捨てられるという意味で。

 そんな中、Aの様相が顕著になってきました。まずは米国と中国。かつて「チャイメリカ」と呼ばれたほど、米中の経済は完全に一体化したと言われましたが、ここへきて分離して行っています。それに伴い、国境を超えたサプライチェーンを軸にした貿易の流れが切断されつつある。経済的な融合が、外交安全保障上は非常に対立しやすい米中両国を歩み寄らせていたものの、これが崩れ、きな臭い問題が出てくる恐れがあります。

 もうひとつのAは、英国とEU。昨年12月の総選挙でジョンソン英首相の保守党がとんでもない勝利を収め、英国のEU離脱がいよいよ現実となろうとしています。

 そして、EUから英国が離れるとBの可能性が高まります。スコットランドが英国から離脱、独立する。北アイルランドも同様に英国から離脱し、アイルランド共和国に属する。そんなことが起こるかもしれません。「ブレグジット」によって「スコジット」「北アイルジット」が展開されるわけです。

■日本人よ、覚醒せよ!

 もうひとつ。まさかのまさかですが、Bの可能性として、ドイツが再び東西に分裂する恐れを危惧しています。

 昨年は「ベルリンの壁」崩壊から30年という節目の年でした。そんな歴史的な時あたかも、旧東ドイツの諸州で、現在のドイツの体制に対する不満が大きくなっています。「我々はまだまだ三流市民扱いされている」「北アフリカからやってくる移民の方が、東独人よりも大事なのか」といった声が高まっている。そうした人々の憤懣や嘆きを巧みに引き寄せ、ポピュリストや右翼、排外主義者たちが、特に東ドイツで得票を集めるという状態になっています。

 まさに、グローバル時代の幕開けとともに成立した「統一ドイツ」が、破グローバル化の兆候が出てきた今、再び東西にたもとを分かつ。そんなことも現実に起こり得るのではないか。

 融合から分断の時代になってしまうのかどうか――。この3つの「D」がとても気になります。

 日本人にとっては、当たり前だと思っていた環境が、劇的に変わっていく時代を迎えたと言えるでしょう。どうも日本人は、平穏で見通しのつきやすい環境を求める傾向がある。しかし、一定方向に向かって流れていく歴史というものを前提にすることは、もはやできなくなりました。新時代への対応力を培うために、日本人も“覚醒”する必要に迫られています。

 今年は東京五輪が開催される。しかし、五輪なんてやっている場合なのでしょうか。

 新年にあたり、あらためて強調したい。

「日本人よ、目覚めよ!」

(浜矩子/同志社大学教授)

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