立憲・枝野代表が苦言「今の政府会見は15分で切っちゃう、あの時は質問が途切れるまでやっていた」

立憲民主党・枝野幸男代表が民主党政権時と比較し、政府会見の短さに苦言

記事まとめ

  • 立憲民主党・枝野幸男代表がトークショーに参加し、福島第一原発事故について語った
  • 枝野代表は当時の発言で炎上したことについて、わざと発言を切り取られたと説明した
  • また、枝野代表は政府会見の時間について、今は15分で切っていると苦言を呈した

立憲・枝野代表が苦言「今の政府会見は15分で切っちゃう、あの時は質問が途切れるまでやっていた」

立憲・枝野代表が苦言「今の政府会見は15分で切っちゃう、あの時は質問が途切れるまでやっていた」

(左から)橘民義氏、枝野幸男氏、寺脇研氏(C)日刊ゲンダイ

「今の総理の会見や官房長官の会見は15分でさっと切っちゃいますけど、あのときは1時間くらい質問が途切れるまでやっていました。会見の直前に新しい情報が入ってきたり」

 そう話したのは、2011年の東日本大震災と東京電力福島第一原発事故当時に内閣官房長官だった、枝野幸男立憲民主党代表(55)である。

 2月24日、都内で催された映画「太陽の蓋」の上映会後、同映画製作者の橘民義氏、元文部省の寺脇研氏らとのアフタートークショーの中でのこと。まもなく東日本大震災、東電福島原発事故から9年が経とうとしている。

■「ただちに健康に影響がない」発言の真意

「太陽の蓋」は2011年3月に起きた東京電力福島第一原子力発電所の事故をめぐる首相官邸、東京電力のドタバタなど内幕を事実にもとづき再現したフィクション映画。当時は民主党連立政権であり、菅直人首相役を三田村邦彦(66)、枝野・内閣官房長官役を菅原大吉(59)、福山哲郎・内閣官房副長官を神尾佑(49)が演じている。

 映画は2016年にロードショー公開されたが、その後も自主上映などの申し込みが続き「上映会は400回を超えた」と橘氏は話す。ただ、トークショーに枝野氏が参加したのは今回が初めてである。

「細かい点ではいろいろと違う点はあるんだけど、全体としてあのときの雰囲気や流れを映画にできているし、登場人物もそれっぽく演じてくれたのがすごいと思いました」と枝野氏は口火を切った。

 枝野官房長官の記者会見と言えば、「ただちに健康に影響はない」という発言がもっとも炎上した言葉ではないだろうか。枝野氏はこう説明する。

「私は原発事故前の大地震が起きてから、正確に発信しないといけない。嘘や隠し事はいけないし、誤解を招く発言をしてはいけないと主語と述語、何について話しているかなど、ものすごく意識していました。あのときの主語は、原発事故における一般的影響は主語にはなっていないんです。6、7回のうちの1回をのぞいて主語は飲食物でした。最初は牛乳だったと思いますが、牛乳に基準値を超える放射性物質が検出された。当然出荷停止にするんですが、その前に飲んだ人がいるかもしれない。その基準値は大人が1年間飲んだ場合に影響が出るかもしれないという基準値。1週間も経っていなかったから1年分飲んだ人はいるわけはないので、したがって、特に健康に影響する数字ではなという主語を限定、明確にして言葉を使っている。全部発言録が残っています。それが原発事故全体について私が健康に影響がないと話したと、わざと切り取って広めた人がいるのだろうと思います」

■昔と今の記者会見

 また枝野氏は、切り取りの話について次のように続けた。

「切り取りの話がありますが、逆に政治家の会見を頭からお尻まで真剣に聞いた経験ってあのときが初めてで、その後はないのではないでしょうか。私は途中で気づいたんです。この会見って、おそらくフルでほとんどの方がご覧になっていると。だから途中から発言が切り取られる心配をしなくなったんです。こんな経験は実は政治家であまりない。予算委員会は7時間あっても、ニュースでは20秒になりますよ。今の総理はあんなに支持率が高くても総理の会見をフルで見られることはない。そうすると、普段は切り取られている話も全体を見ていただければちゃんと伝わるんだ。あの当時は切り替えができた」

 2010年、2011年はニコニコ動画が政治家の記者会見の生中継を始めたり、フリーランスが自由に入れるなどによって政治系記者会見への関心が高まりつつあった。当時は大震災という事情もあったろうが、その後の自公政権では記者会見や情報公開の自由度や透明性は失われていった。

 映画のテーマである原子力発電について枝野代表は、「あのとき官邸にいた人間は、とにかくこれが止まらなかったらどうしようという恐怖を感じた。二度と経験したくない。この恐怖を感じていない人が原発再稼働と言っているのではないか」と、立憲民主党が掲げる原発ゼロの政策とからめて語った。

 特に英雄もいない劇映画「太陽の蓋」について製作者の橘民義氏は、「真実に近い映画にしたいと思って一番気をつかった」と話した。一方、今年は「ついに明らかになる<真実の物語>」と宣伝する劇映画「Fukushima50」(渡辺謙、佐藤浩市らが出演)が公開される。両映画はいくつかの点で相反する姿勢に見えるが、橘氏は「来年の3月にはもう一度『太陽の蓋』を公開したい、そのための第一歩が今日です」と抱負を語った。


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