トランプの嘘 ペンス副大統領に責任押し付け逃げ切り図る

トランプの嘘 ペンス副大統領に責任押し付け逃げ切り図る

ペンス(左)をスケープゴートに(C)ロイター

【新型コロナウイルス パンデミック前夜】#1 アメリカ

 新型コロナウイルスの蔓延はトランプ大統領に大打撃を与えつつある。トランプは当初「米国は世界最高の医療チームが健在だ。多少の感染者は出るかもしれないが、まったく問題ない」と豪語していたが、今や感染者は63人で、死者まで出た。海外渡航歴のない金持ちや高校生らも感染したためトランプの信頼は揺らぐ一方だ。米国内では「トランプ・ウイルス」という言葉もはやり始めた。ビル・ゲイツは「100年に1度の強烈な病原菌。感染者は1000万人を超えるだろう」と予測している。

 最も深刻なのがニューヨークの株式市場。先週だけで3500ドル余り、率にして12%を超える記録的な値下がりとなった。こうした中、3月14日から、トランプの肝いりでラスベガスで開かれるはずだった米国とASEAN10カ国の首脳会談も延期になった。

 新型コロナウイルスの打撃を受けたのが、米国ではバドワイザーより人気のあるメキシコ産のコロナビールだ。その名前のせいで米国の愛飲家からそっぽを向かれるようになり、ある広告代理店の調査によると、ビール愛好家の38%が「絶対にコロナビールを飲まない」と回答。コロナビールを製造するモデーロ社は米国市場向けに新商品の発売を予定していたが、急きょ発売延期を決めた。米国の輸入代理店にとって大打撃だろう。

 危機感を強めるトランプは「株価急落の責任は不安感をあおるメディアとウソつきの民主党にある」と責任転嫁に動き始めた。そればかりか、身内のペンス副大統領をスケープゴートにしようとしている。「今後の対応の責任者はペンス副大統領だ。なぜなら彼はインディアナ州知事時代に医療体制を強化した実績がある」ともっともらしい理由をつけて、この問題の矢面から逃げ出す算段を始めたのだ。

 しかも、具合が悪くなったらペンスをクビにして元国連大使でインド系米国人女性のニッキー・ヘイリーを後任にしようと、彼女を口説いている。そのため全米各地での共和党の資金集め集会でヘイリーの活躍が目立つようになってきた。

 11月の大統領選に向けて「まったく問題ない」と言い張ったトランプだが、国民は彼のウソを見抜いている。新型コロナウイルスでトランプ再選は赤信号だ。

(国際政治経済学者・浜田和幸)

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