トム・クルーズ主演M:I最新作の撮影ロケが急きょ無期延期に【新型コロナウイルス パンデミック前夜】

トム・クルーズ主演M:I最新作の撮影ロケが急きょ無期延期に【新型コロナウイルス パンデミック前夜】

今や世界で3番目の”感染大国”となったイタリア(右はトム・クルーズ)/(C)日刊ゲンダイ

【新型コロナウイルス パンデミック前夜】#2 イタリア

 トム・クルーズの映画がイタリアで立ち往生――。こんなハプニングが起きている。

 新型コロナウイルスはイタリアにも蔓延し、感染者数は1500人超と中国、韓国に次いで多い。すでに34人が死亡し、ヨーロッパでは最悪の状況だ。バチカンではローマ法王が感染したのではないかと疑われ、礼拝を中止したほどである。ミラノ・ファッション・ウイークやベネチアのカーニバルも計画変更に追い込まれた。

 そんな折のトム・クルーズである。実は彼が主演する人気映画「ミッション:インポッシブル」シリーズの第7作の撮影が2月20日からイタリア・ベネチアで行われる予定だった。期間は3週間である。

 まずは撮影クルーがベネチア入りし、準備万端でスタンバイ。主演のトムの現地入りを待ち構えていた。ところが新型コロナウイルスの感染状況が日に日に悪化。製作・配給のパラマウントは急きょ、撮影の中止を決めた。ベネチアのあとはローマでの撮影が決まっていたが、すべて無期延期となり、クルーは全員イタリアから撤退した。日本のクルーズ船とトム・クルーズが新型コロナウイルスに翻弄されたとはシャレのような話だ。

 近年、ヒット作に恵まれないパラマウントにとって「ミッション:インポッシブル」は、集客が期待できる数少ないドル箱。これは大きな損失だろう。

■人気ブランドが蔓延させた

 イタリアの感染が深刻化した背景には、中国との経済的な関係がある。ご存じのように、イタリアは有名ファッションブランドを多数抱えているが、国内の景気後退のあおりで、グッチやプラダなどを支えてきた職人が所属する工房のほとんどが中国資本の傘下に入っている。「メード・イン・イタリア」とは名ばかりで、高級品のハンドバッグや靴、洋服などを作っているのは中国人の職人なのだ。

 感染症が最も深刻化しているイタリア北部のトスカーナ地方などはフランスに次いで中国人労働者が多く、あちこちに中華街が生まれ、そこに中国人観光客が殺到していた。イタリア人の中華料理好きは有名で、ローマもミラノも中華街は大繁盛。中国人と結婚するイタリア人は男女を問わず急増中だ。

 この実態を知れば、新型コロナウイルスが猛スピードで拡散している訳が理解できるだろう。 =つづく

(国際政治経済学者・浜田和幸)

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