韓流スターもこぞって寄付 自治体は貧困世帯に4.5万円支給

韓流スターもこぞって寄付 自治体は貧困世帯に4.5万円支給

ファンが作った「BTSマスク」が出回る珍現象も(C)MEGA/ニューズコム/共同通信イメージズ

【韓国「コロナ戦争」現地ルポ】#3

 全羅北道の全州市(人口約65万人)の議会は先週、貧困世帯5万人に支援金52万7000ウオン(約4万5600円)の給付を議決した。新型コロナウイルスをめぐり、所得支援を打ち出した地方自治体は初めて。慶尚南道知事や京幾道知事は政府に国民1人当たり100万ウオン(約8万6600円)の支給を求めたが、青瓦台(大統領府)は拒んだ。実現には51兆ウオン(約4兆4300億円)の予算措置が必要だ。到底不可能な数字だから、国会議員選挙(4月15日投開票)をにらんだパフォーマンスのニオイもぷんぷんする。

 感染者の8割以上を占める大邱市や隣接する慶尚北道を助けようという動きが地方自治体に広がっている。特産品の果物や野菜、チーズなどの乳製品を送るキャンペーンが全国でスタート。政治的背景から地域感情が根強い韓国では、歴史的に慶尚道と全羅道の対立は激しい。朴正煕大統領や長女の朴槿恵大統領、続く李明博大統領などの保守政治家を生んだ慶尚道に対する国民の目は厳しい。

 しかし、今回ばかりは朝鮮戦争後最大の国難との意識が高まり、一致団結しようという雰囲気が強い。大邱市の患者を全羅道の病院や生活治療センター(隔離施設)で積極的に受け入れている。

 2014年に発生したセウォル号沈没事故の時のように俳優や歌手ら韓流スターの支援ラッシュも続いている。俳優のイ・ビョンホンが1億ウオン(約869万円)を寄付したことが大々的に報道されたほか、実力派俳優がトラックで大邱市に駆け付けてマスク5000セットを住民に配ったのも話題をさらった。日本でも人気のBTS(防弾少年団)のファンが作った「BTSマスク」が出回る珍現象も起きている。

 一方、日本政府が韓国からの入国制限を強化したのに対抗し、韓国政府も日本との短期滞在ビザ免除措置の停止に踏み込んだ。日本の対応は昨年の対韓輸出規制と同様に韓国国民の反発を招いている。韓国メディアのブレークニュース編集主幹の文日錫氏は言う。

「輸出規制とリンクして日本に対する反発はますます強くなりました。〈コロナに負けるな!〉と〈日本に負けるな!〉の2つが国民の気持ちです。日本がPCR検査の件数を増やさないのは、東京五輪を控えて感染者数を増やしたくないからだと韓国ではみな思っています。それに、東京五輪の延期はやむを得ないと大多数の人が考えていますよ」

(太刀川正樹/ジャーナリスト)

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