世界で唯一 スウェーデン「集団免疫」作戦の“成功宣言”は本当か

【新型コロナウイルス】スウェーデン「集団免疫」作戦成功か 集団免疫の見通し明かす

記事まとめ

  • スウェーデンは、外出規制をせず、独自の「集団免疫」作戦を実行している
  • コロナ対策に成功し、ストックホルムでは集団免疫を獲得できるとの見通しを明らかに
  • 英国も3月に同じ作戦を打ち出していたが、国民やメディアから批判が殺到し撤回した

世界で唯一 スウェーデン「集団免疫」作戦の“成功宣言”は本当か

世界で唯一 スウェーデン「集団免疫」作戦の“成功宣言”は本当か

コロナ禍のなか、野外レストランで春の陽気やおしゃべりを楽しむ人たち(スウェーデン首都ストックホルム、26日) (C)ロイター/TT News Agency

さながら「肉を切らせて骨を断つ」か――。都市封鎖などの厳しい外出規制をせず、独自の「集団免疫」作戦を実行しているスウェーデンが、“コロナ対策”に成功したという。政府の感染対策のリーダーが、首都ストックホルムでは今後数週間以内に“集団免疫”を獲得できるとの見通しを明らかにしたのだ。

 世界各国は、新型コロナウイルス拡大を防ぐために、国民に外出規制を強いている。しかし唯一、スウェーデンだけは「集団免疫」戦術を取ってきた。

 多くの人が新型コロナに感染し、集団免疫を実現できれば、感染の連鎖を断ち切ることができる。スウェーデンで政府の対策指揮を執る疫学者のアンデシュ・テグネル氏は米紙「USA TODAY」のインタビュー(28日付)で、「ストックホルムでは恐らく25%の人がコロナウイルスへの免疫を備えている」と指摘。市内のある病院では、27%の医療スタッフが免疫を持っていたと明かした。

 テグネル氏は「『集団免疫』はスウェーデンの封じ込め作戦の中心ではない」と説明したものの、「(集団免疫の)効果を目の当たりにすることになるだろう」と事実上の“成功宣言”。ただ、集団免疫を巡っては、国内外の専門家から「根拠がない」との批判も受けていた。

 英国も3月に同じ作戦を打ち出していたが、国民やメディアから批判が殺到。発表から3日後に撤回している。

■抗体保有率上げない限り出口は見えない

 実際、極めて“危うい”戦術であることは確かだ。隣国のフィンランド(人口552万人)は感染者4740人、死者199人であるのに対し、スウェーデン(人口1023万人)は感染者1万9621人、死者2355人。北欧3カ国のフィンランド、ノルウェー、デンマークの感染率が0・08%〜0・15%、死亡率が0・003%〜0・007%にとどまっているのに、スウェーデンの感染率は0・2%、死亡率は0・02%とやや高い。

 集団免疫作戦は奏功したのか。医療ガバナンス研究所理事長の上昌広氏がこう言う。

「スウェーデンは医療崩壊や高齢者施設などでの院内感染を封じてきました。欧米や中国より被害を抑えつつ、抗体保有率を上げたのは評価されるべきです。これから感染の第2波、第3波がやってきた場合、他国はもう一度外出規制をしなければならない可能性があるが、スウェーデンは抗体保有率が高いため、第1波と同じように乗り切ることができるのではないか。ワクチンが開発されるか、抗体保有率が上がるかしないと、出口は見えません」

 日本では院内感染が相次いでいる状況である。まだまだ感染の恐怖におびえ続けるしかない。

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