れいわ新選組・山本太郎代表の本音に迫る<3>コロナ以前から緊急事態との認識なき政治家は国会を去れ

れいわ新選組・山本太郎代表の本音に迫る<3>コロナ以前から緊急事態との認識なき政治家は国会を去れ

れいわ新選組代表の山本太郎氏(C)日刊ゲンダイ

フリーランスライターの畠山理仁氏が、れいわ新選組の山本太郎代表の本音に迫るインタビュー。最終回は、野党共闘への思いと、畠山理仁氏が注目するベテラン政治家について、大いに語ってもらった。

 ◇  ◇  ◇

 ――毎度、取材のたびに聞いていますけど、野党共闘についてです。衆院静岡4区補選でも声はかかりましたが、れいわは共闘に参加しませんでした。野党共闘に加わらない1番の理由は何ですか。

 静岡補選に関してと言うよりも、常に野党共闘に加わる条件は「消費税5%」とラインを引いています。その答えが得られるまでは「野党共闘って何ですか」って話です。つまり、「その話はまた後で」とか、「とにかく今は野党共闘を」という話には乗れません。最初から私たちは「5%」で線引きしており、妙な特例を作ってしまうと、なし崩しは目に見えています。5%の答えが出ていない以上、野党共闘の枠組みには入れない。すごくシンプルな考えです。

 ――野党共闘が実現しないのは、条件を飲まない他の野党の側に問題があるということですか。

 いや、私たちは究極、どちらでもいい。野党共闘が実現した場合と、できない場合との両方を視野に入れていますので。野党共闘がうまくいかなくても、怒りはない。それぞれの“会社”の都合があるでしょうから。

 ――選挙では野党共闘が実現し、塊になった方が与党とは戦いやすい。けど共闘できなくても、誰が悪いということではないということですか。

 はい。これまでの国政選挙でも野党は選挙区では協力しても、それぞれ別の党として戦ってきました。本来なら「オリーブの木」構想のように、野党が統一名簿を作って選挙に臨めれば良かったのに、ずっと前から個別で戦ってきたわけです。だから、私たちが共闘しません、独自にやりますと言っても、他の野党に批判される筋合いはありません。

 ――今、野党のつなぎ役として、中村喜四郎衆院議員が注目を集めています。昨年の埼玉県知事選でも、事前の予想を覆して自民系を破った野党系候補の応援に入っていました。中村さんとお話されたことはあります?

 ないです。

 ――予定もありませんか。

 特にないですね。お会いしたこともないんじゃないかな。経済的な考え方も真逆だと思います。中村さんは緊縮路線ですよね。国の在り方についても、どちらかと言えば新自由主義的な発想をお持ちなのかな。郵政民営化にも賛成していましたし。主義主張は180度違う感じはしますが、野党のキーマンとして動かれていることは存じあげております。

 ――中村さんの動きはどう思いますか。

 現政権の対抗軸となり得る野党をしっかり築き上げていこうとする。その考えは素晴らしいと思います。ただ、緊縮を訴える限り、対抗軸にはなり得ません。野党が塊となって戦う考え方は先輩の仰る通りですが、どのような対立軸で挑んでいくのか。そのストーリーまで有権者に訴えていくことが絶対に必要です。やはり緊縮路線では人々の暮らしは、もう維持できない。国が皆さんの生活を底上げする。もっと大胆なことを打ち出していかなければいけません。プライマリーバランス(基礎的財政収支)にとらわれているような旧民主党的な考え方では、与党に太刀打ちできませんよ。

 ――ベテラン議員の方々は、プライマリーバランスの考え方から自由になれるのでしょうか。

 う〜ん、どうでしょう。それぞれの方々に、これまで信じてきた考えや、訴え続けたことがありますから。そして、それなりの地位を築いて来た人々には、180度違う考え方はなかなか受け入れ難いのかもしれません。方向転換の難しさは、実感しますね。

希望を担保するのは、やはりお金です

 ――でも、今は緊急事態。ウイルスとの戦争状態ですから、悠長に構えてもいられません。

 野党の1番の抑えどころは、コロナの前に既に緊急事態であったという認識があるか、です。20年以上もデフレが続き、消費税率が上げるごとに人々の生活は壊れ、不安定な働き方を強いられてきた。ネットカフェ利用者の25%が住居消失者で、うち7割は非正規雇用です。自民党を軸とした新自由主義政策による弊害が結局、非正規で不安定な働き方の人々に及んでいます。さらに安倍政権は働き方改革を打ち出す2年前、2016年頃からフリーランスを推奨し、副業・兼業をどんどん認めてきました。ところが、そのフリーランスの人々がコロナ禍で失政のしわ寄せを受けている。結局、この国の政治は誰も守ってくれない。働く人々にとって最悪な選択をずっと続け、国を壊してきた。コロナ以前から緊急事態だったとの認識がない者には、私はハッキリ言って政治の世界に身を置いて欲しくない。完全なレジームチェンジを起こさなければ、この国は本当に滅んでしまうだろうなと思っています。

 ――最後に有権者にこれだけは訴えたいということがあれば、ぜひ。

 これだけの緊急事態に陥っても、権力を持った者たちは、なかなか本気にならない。本気なのは、いかに自分たちの権力を維持するかだけです。一律10万円の現金給付に関しても、あれだけの時間を浪費してしまった。私たちは、まだ衆院で今年度の本予算を審議していた2月26日、自民党と野党共同会派に、本予算審議を止めて、緊急の補正予算の編成と成立を求めました。この時点だったら、まだ補償も安くついたと思います。国の産業構造を反映させた総務省の産業連関表を参考にすると、サービス業を中心に1カ月休業させれば3.5兆円くらいの補償で済んだはずです。他業種に予算を回しても、恐らく真水で10兆円規模の補正予算で片付いたかもしれないのです。最初はその程度の規模で済んだはずなのに、対応が遅くれれば遅れるほど予算規模は膨らみますよね。ところが、同時に国会の休会を提案したことで「一般の人は仕事を休めないぞ」とバッシングを受けてしまった。一般の人にも「みんな休んで」というメッセージを伝え、その根拠となる予算をつけたかったんですけどね。その頃の立憲民主の国対は、コロナ対策より与党側と約束した段取り通りのスケジュールで国会を進める考えの方が強かったのかな。これでは国民の命は守れないってことです。

 ――与野党ともに本気度が感じられない、と。

 少なくとも一刻の猶予もない、って危機感は感じません。ゴールドマンサックス証券は先月、日本の4ー6月期の実質GDPが前期比で年率換算マイナス25%と、戦後最大の下げ幅を記録すると予測しました。つまり、140兆円近い、本来なら回るはずだったお金が回らなくなるということです。そのお金を補填できるのは、政府という存在以外ありません。でないと、本当の恐慌になりますよ。年内にも、かなり悲惨な状況が訪れ、自分の命を絶たなくてはいけない人々が多数になる可能性も高い。その中で政治が打ち出すべきは希望であり、その希望を担保するのは、やはりお金です。まずは10万円給付を半年続ける勢いじゃないと、苦境に立つ人々は救えません。今、希望を失いそうな人たちも、どうか、あきらめないで欲しい。この国の最大の権力者は総理大臣ではなく、この国に生きる人々です。とにかく生き延びて、緊急時には人々の命を絶対に守ると言い切れる、そんな責任ある政治を一緒に作っていきましょう。

(聞き手=畠山理仁 構成=今泉恵孝/日刊ゲンダイ)

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