【緊急寄稿 石井妙子】熱気なき小池再選を生み、他候補の主張を奪ったメディアの「忖度」気質

【緊急寄稿 石井妙子】熱気なき小池再選を生み、他候補の主張を奪ったメディアの「忖度」気質

報道は現職中心(小池百合子都知事定例会見)/(C)日刊ゲンダイ

午後8時の時報と同時に「小池百合子再選、圧勝」とテレビは型どおりに報じた。だが、圧勝というには熱の感じられない選挙ではなかったか。都民の大半が無関心、あるいは背を向けていたように思う。

 理由のひとつは選挙報道にあるのだろう。もちろんコロナの影響は大きい。だが、むしろコロナが政治利用されたと感じられてならない。小池都知事は「コロナ対策にまい進する」というポーズを常に取り、テレビ討論会への参加に消極的だったとされる。結果的にテレビ局は、討論会そのものを一度も開かなかった。なぜ、残りの候補者だけで討論会をし、報じなかったのか。

 一方で、現役の都知事である小池氏の会見は毎日のように、テレビで取り上げられていた。不公平であろう。小池氏がテレビ討論を嫌がったのであれば、その真の理由は、他候補からの厳しい質問に答える自信がなかったからではないか。他候補はテレビを通じて自己を主張する貴重な機会を小池氏とテレビ局によって奪われてしまったと言っていい。テレビ界出身の小池氏はメディア操作に長けており、また、テレビ局は常に現役の知事に対して忖度をする。前回は朝から晩まで延々と、ワイドショーで都知事選を報じ続けていた。こんなにも選挙報道に落差があっていいのだろうか。

 今後の4年間、都政のかじ取りは並大抵ではないはずだ。1兆円あった都の貯金にあたる財政調整基金は、小池都政下でほぼ使い果たした。

 高齢化と税収減が予測される中、財源もなく、どうやってコロナ対策やオリンピックの延期開催を進めていくのか。小池氏は財政を立て直す努力をせず、任期半ばで口実を見つけて、都政を投げ出してしまうのではないだろうか。彼女には国政への未練がある。

 4年前、小池氏は自民党を敵として戦い、それこそ圧勝して都知事となった。ところが、その後、彼女は自民党の大幹部である二階俊博幹事長にすり寄り、自民党が対抗馬を立てないように根回しをして、今回の勝利を手に入れた。その過程では二階氏の顔を立てるために都が備蓄してきた33万着もの防護服を中国に寄付している。都内の病院では防護服が不足し、その結果、医療関係者が感染の危機にさらされた。自分の政治生命を都民の生命よりも優先する彼女の「自分ファースト」は今後も続くことだろう。

 都民は今後、厳しい目で監視しつつ、彼女を選んだのは自分たちであるという事実もまた、決して忘れてはならないと思う。

(石井妙子・ノンフィクション作家)

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