河井夫妻の買収事件 選挙運動を仕切った統括主宰者は安倍首相だった?

河井夫妻の買収事件 選挙運動を仕切った統括主宰者は安倍首相だった?

参院選選挙当時、河井案里候補の応援にかけつけた安倍首相(左は河井克行前法相)/(C)共同通信社

「これでは黒川さんが辞職したところで検察の信頼は取り戻せないのではないか」

 昨年7月の参院選広島選挙区を巡り、前法相の衆院議員、河井克行被告(57)と妻で参院議員の案里被告(46)が公選法違反で逮捕、起訴された買収事件で、捜査に関わってきた現場の捜査関係者から、こんな声が漏れているという。このままだと、2人の起訴で事件はオシマイ。カネを受け取っていた広島県議や市議どころか、検察当局が“狙っていた”とされる安倍首相の近辺にも手が届かないからだ。

 地元記者がこう言う。

「県議や市議は、克行被告から『無理やりカネを渡されて断れなかった』などと弁明していますが、彼らの多くは当初、『もらっていない』とウソをついていたのです。ある県議は、現金授受について尋ねた記者をにらみつけ、『失礼なことを言うな。証拠を持ってこい!』とすごんでいた。それが一転して『受け取りました』ですからね。お咎めなし、なんて馬鹿な話はありませんよ。捜査関係者は公選法違反で被買収側も全員立件しようと考えていたようですが、上の判断で河井夫妻に絞ったとみられています。前法相の起訴ですから、万が一の間違いも許されず、慎重になったのでしょう。しかし、これでは今後、公選法違反の捜査でカネを受け取った人がいても『無理やり』と言えば許されしまう前例を作ることになる。現場では『赤信号みんなで渡ればなんとかだ』なんて呆れる声が出ています」

■案里被告の選挙活動に首相が強く関わっていた可能性を示唆

 そんな中で、注目されているのが共同通信のスクープ記事だ。共同は、克行被告が昨年5月、安倍首相との面会資料として案里被告の陣営予算や、広島入りした首相秘書団の活動を報告する文書を作成し、選挙情報を共有していた可能性について報じたのだ。

 すでに明らかになっている通り、自民党本部は参院選で1億5000万円という異例の巨額資金を案里被告に投じて全面支援していた。党本部が河井両被告の政党支部に資金を振り込む前後、安倍首相と克行被告が官邸で面談していた事実も判明しており、共同のスクープ記事は、安倍首相自身が案里被告の選挙活動に強く関わっていた可能性を示唆するものだ。

「案里被告の後援会長だった繁政秀子前町議は克行被告から現金30万円を渡された際、『安倍さんから、と言われた』と証言しています。ふつうの選挙資金の10倍である1億5000万円ものカネを動かせるのは党総裁、つまり首相か幹事長しかいない上、複数の首相秘書が地元入りして克行氏が現金を配った人物に後から訪ね、支援を求めていたこともわかりました。そして、その活動について安倍首相は、克行被告ら逐次報告を受けていた。これは外形的にみれば、案里被告の選挙運動を取り仕切った総括主宰者というのは克行被告というよりも、安倍首相ではないかと疑われても仕方がないでしょう」(前出の地元記者)

 捜査関係者であれば、当然、重要参考人として安倍首相を任意聴取したいに違いない。検察はこのままウヤムヤにしたいだろうが、世論の行方によってはどう展開するのか分からない。


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