「国民を殺した」今も多くの韓国人に恨まれる朴槿恵前大統領の“罪と罰”【嫌も反も親も気になる最新韓国のリアル】

「国民を殺した」今も多くの韓国人に恨まれる朴槿恵前大統領の“罪と罰”【嫌も反も親も気になる最新韓国のリアル】

今も多くの韓国人が嫌悪感を抱く…(朴槿恵前大統領)/(C)共同通信社

【嫌も反も親も気になる最新韓国のリアル】#4

 ソウル市長の自殺に衝撃を受けている韓国だが、その裏でひっそりと前大統領の朴槿恵被告に関するニュースが報じられていた。ソウル高等裁判所は今月10日、朴被告に対して懲役20年の判決を言い渡した。

 大手財閥のサムスングループから巨額の賄賂を受け取った収賄罪など、幾つかの罪に問われた差し戻し審だ。2審判決では合計で懲役30年だったので、量刑が大幅に減刑されたことになる。検察も被告も納得しなければ最高裁に上告するだろう。

 日本人の私からすると、朴被告の量刑は減刑されてもまだ重いと感じるが、韓国人の誰に聞いても「冗談じゃない。軽すぎる」「懲役100年でも足りないぐらい」と怒りを隠せない様子だ。

■299人の国民を殺害!?

 多くの韓国人が抱く、朴被告に対する嫌悪感は今も計り知れない。財閥からの賄賂で怒っているのではない。背景にあるのは2014年4月に起きた「セウォル号の沈没事故」だ。

 事故は政府の対応の遅さが災いし、299人もの犠牲者を出している。その多くは修学旅行中の高校生だった。救えたはずの命を失ったことで、この事故は今も韓国人の心の傷となっている。この頃、「朴槿恵が国民を殺した」という言葉を何度も耳にしたものだ。

 たしかに政府の対応のまずさが露呈した事故だったが、「大統領が殺した」というのはあまりにも飛躍しすぎではないか。当時、私がそう言うと、背中を殴られたり、友達からも「頼むから絶対にそんなことは言わないで」と釘を刺された。その目は怒りに満ちていた。朴被告に対する怒りは保守もリベラルも関係ない。支持政党を超えて、多くの韓国人が怒っているのだと強く感じた。

 その後、朴被告は崔順実ゲート事件などの不祥事によって大統領を罷免された。そして今月、差し戻し審の判決が出たわけだが、韓国人が口にしたのはやはりセウォル号の事故だった。

「多くの国民を死なせた朴槿恵が懲役20年なんて許せない」

 今年3月、タレントの志村けんさんが新型コロナウイルスに感染して亡くなったときも韓国のネット上ではこんな言葉が飛び交った。「安倍が志村けんを殺した」と。根っこにあるのは同じ感情なのかもしれない。  =つづく

(児玉愛子/韓国ウオッチャー)

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