小池都知事の「黒歴史」築地市場跡地の活用と環状第2号線の行方【都庁幹部OBが明かす小池「暗黒都政」】

小池都知事の「黒歴史」築地市場跡地の活用と環状第2号線の行方【都庁幹部OBが明かす小池「暗黒都政」】

築地市場の跡地は東京ドーム5個ぶん!(小池都知事=右)/(C)共同通信社

【都庁幹部OBが明かす小池「暗黒都政」】#3

 豊洲に移転した築地市場の跡地は今、高い仮囲いの白い塀に周囲を囲まれて中を覗き見ることはなかなかできない。それでも、中央区が設置した「築地魚河岸」の屋上から一望することは可能だ。その大きさは23ヘクタール。実に東京ドーム5個分である。いやはや広い。銀座から徒歩10分圏内に、こんな手つかずの土地があるなんて。あの店舗とターレと人がひしめき合っていた場所がこんなに広大だったのかとあらためて驚かされる。

 だが待てよ。この築地市場の跡地利用については、先の都知事選挙で論点になっていなかった。都は昨年3月に「築地まちづくり方針」を発表。同11月には船着き場周辺エリアを先行整備するための実施方針の方向性について明らかにしたが、ここ半年以上、とんと音なしの構えである。

 もともと築地市場の跡地は、東京五輪の大会期間中は大型バスや乗用車など数千台分の車両基地として利用し、その後、環状第2号線を貫通させて、いよいよ本格的に再開発に臨む予定だった。ところが、東京五輪の1年延期と新型コロナが重なり、いやが上にも先行き不透明感が増している。

■食のテーマパークも環状第2号線の整備も止まったまま

 築地市場の跡地は小池知事にとっては、アンタッチャブルな土地である。築地跡地のことを言い出せば、必ず「そういえば、アレどうなった?」と問い詰められるからである。「アレ」とは2つある。1つ目は、食のテーマパークだ。一世を風靡したこの言葉、移転反対派の業者をなだめすかせ、あたかも築地に戻って来られるかような幻想を振りまいた虚言である。なんと多くの関係者が騙されたことか。

 もっとも小池知事も、最初から食のテーマパークを本気で作る気などなかったのではないか。その場を取り繕い、自分に批判の火の粉が及ばないように策を弄したに過ぎなかった。跡地開発が進めば進むほど、この嘘は再び白日の下に晒されてしまう。いくら強心臓の知事でも気が気ではないだろう。

 2つ目は環状第2号線である。この道路計画をストップさせたのは他ならぬ小池知事だからだ。4年前、建設局は就任直後の小池知事に繰り返し説明を行い、市場移転を延期すれば臨海部と都心を結ぶ幹線道路の整備が止まってしまう。五輪にも多大な悪影響が出ると訴えた。だが、小池知事は一切聞く耳を持たなかった。

 ネットワークが途切れた道路網は極めて効率の悪い代物でしかない。それを重々わかった上で、小池知事は政争の具として市場移転の延期を決めたのである。同時に、環状第2号線の整備も止まった。豊洲側からは大きな橋が架けられ、新橋方面では跡地直下までトンネルが完成している。いやはや、もったいないったらありゃしない。

■あちこちで蠢くどろどろとした思惑

 もともと築地市場の土地は東京都中央卸売市場(都内11か所の卸売市場を管理する局)の所有だった。これを所管替えという名の売り買いにより、独立採算の中央卸売市場会計から一般会計に移行させた。つまり、東京都は税金で築地跡地を買い取ったのだ。

 さて問題はここからである。豊洲市場に6000億円近くを投入した中央卸売市場は、土地を一般会計が引き取ってくれたおかげでホッと一息付いた。一方、一般会計ではこの土地の扱いを巡り意見が割れた。民間に売却しよう。それが手っ取り早い。いや、貴重な都民の財産を手放すのはいけない。50年の定期借地にして毎年の地代を稼ぐのが得策だ……。

 時価総額4000億円とも、5000億円とも言われる土地を巡っては、どろどろとした思惑が既にあちこちで蠢いていると聞く。国際会議場、地下鉄新駅、国民的スポーツ施設等々。いずれにしても、銀座至近に残された最後のフロンティア再開発は数十年スパンの大事業になるのは間違いない。小池知事の任期中に動くのかどうかは微妙だったが、ここにきて外的要因が激変した。新型コロナ対策の支出によって都財政の金庫が空っぽになってしまったからだ。

 都債の発行により穴埋めするのが常套手段だが、「ちょっと待ったぁ、築地市場の跡地があるじゃないか」と、どこかの誰かが思いついたとしても不思議でない。はたして小池知事は財政難を回避するためなどと称し、自らの「黒歴史」が暴かれるのを覚悟の上で「禁断の金の成る木」に手を伸ばすのか――。都民は監視の眼を見開き、どさくさ紛れの新たな利権構造が生まれる可能性を視野に入れつつ、小池知事の動向をウォッチし続ける必要があるだろう。(おわり)

(澤章/東京都環境公社前理事長)

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