「ファクス行政」と揶揄も…保健所は超時代遅れの化石状態【新型コロナ 小池都政の怠慢を暴く】

「ファクス行政」と揶揄も…保健所は超時代遅れの化石状態【新型コロナ 小池都政の怠慢を暴く】

都職員派遣で保健所バックアップといっても(定例会見をする小池百合子都知事)/(C)日刊ゲンダイ

【新型コロナ 小池都政の怠慢を暴く】#1

 東京都庁では今、毎週のように管理職の人事異動が発令されている。

 そのほとんどが新型コロナウイルス関連、つまり各局各部署の管理職に感染症対策の兼務がかけられている。兼務とは、本務とは別の業務も担当することを人事上、正式に命じることである。

 最近ではオリンピック・パラリンピックとの兼務発令が多用されていた。この場合は、関連する会議などがあれば兼務のかかった者が出席する程度だが、新型コロナの兼務は違う。100%兼務で、本務を完全に離れ兼務先の仕事に専念することだ。その範囲は水道局、下水道局といったハード局にまで及ぶ。つまり、例外なしの全庁的な人材引き抜き運動が大々的に行われているわけで、これは異常事態だと言わざるを得ない。

 さらに、外部からは見えにくいマンパワーの大移動が起こっている。保健所への職員派遣である。若手職員を中心に各局の差し出す職員の人数が割り当てられ、割り当てられた局は本庁だけでは足りず出先機関や外郭団体にまで触手を伸ばしている。ほぼすべての保健所に5名前後の都職員が配置され、現在は2週間交代で職員が入れ替わっている。ある区の保健所では係長1名のもと数名の職員が配置されているが、全員が別々の局からの派遣だ。まさに混成部隊、外人部隊の投入である。

■連動しない都、保健所、国のシステム

 彼らの業務は派遣先の保健所によって異なるが、基本は連絡業務や集計作業のサポートだ。だが中には、感染者への連絡をズブの素人である都職員が任される場合もあると聞く。それほどまでに保健所は逼迫しているということである。

 都職員の派遣で保健所をバックアップとはさすが小池知事――などと能天気に喜ぶのは早計である。都から職員が派遣されたことで保健所行政が抱える決定的な欠陥が露呈することになったのだ。

 保健所には3種類の集計システムがある。1つは都職員が持ち込んだもので、主にホテル療養者の情報が入っている。2つ目は保健所のシステムで、保健所ごとの感染者の詳細な情報を管理している。そして最後が厚生労働省のシステムで、通称ハーシスと呼ばれて全国をカバーしている。都と保健所のものはシステムと呼べるようなものではなく、(マイクロソフトの表計算ソフト)「エクセル」で作った表に毛が生えた程度の代物だ。

 問題はここからである。都と保健所と国、3つのシステムは相互に全く連動していないのだ。一カ所に入力すれば他のシステムに自動的に反映されるということがないため、システム上で相互チェックすることが全くできない。だから、都の派遣職員は毎日、手入力でこっちのデータをあっちに、あっちのデータをそっちにと打ち込んでいる。にわかには信じられないが、これが今の保健所の実態である。

 21世紀も20年を過ぎようとする東京で、こんなことがまかり通っているとは、驚きを通り越して呆れるしかない。以前からファクス行政と揶揄されてきた保健所だが、実態はそれ以上の超時代遅れの化石状態なのだ。(つづく)

▽さわ・あきら 1958年、長崎生まれ。一橋大学経済学部卒、1986年、東京都庁入都。総務局人事部人事課長、知事本局計画調整部長、中央卸売市場次長、選挙管理委員会事務局長などを歴任。現在、(公)東京都環境公社理事長。3月に「築地と豊洲」(都政新報社)を上梓。

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