立憲・安住淳国対委員長 国民目線でなければ政権から引きずり降ろす【注目の人 直撃インタビュー】

立憲・安住淳国対委員長  国民目線でなければ政権から引きずり降ろす【注目の人 直撃インタビュー】

安住淳氏(C)日刊ゲンダイ

【注目の人 直撃インタビュー】


 安住淳氏(立憲民主党・国対委員長)


 数々の問題を抱えながらズルズル続いた第2次安倍政権がようやく終焉を迎え、約7年8カ月ぶりに新政権が発足。時を同じくして、旧・立憲民主党と旧・国民民主党などが合流した新「立憲民主党」も今月15日に結党した。衆参150人の勢力になった野党第1党は、菅政権にどう立ち向かっていくのか。引き続き野党の“闘う国対委員長”として、共同会派を率いる国会対策の司令塔に話を聞いた。

  ◇  ◇  ◇

  ――今月16日に菅政権が発足しました。ちょうど同じタイミングで、野党の合流新党が大きな塊になった。国会戦略は変わりそうですか。

 安倍政権の亜流が誕生しただけですから大きな変化はないでしょう。内閣はほぼ居抜き、自民党の役員人事も幹事長、国対委員長は留任ですから。主演俳優が突然降板したのに代役で無理やり続けるドラマみたいな政権ですよね。菅首相は、そもそも7年8カ月の間、官房長官として安倍政権の中枢にいた人物です。森友問題、加計問題、「桜を見る会」など数々の疑惑、不正について知らないはずがない。そこはきっちり追及していく必要があります。

  ――安倍前首相は病気を理由に辞職して同情論も出ていますが、疑惑や不正が病気で免責されるわけではありません。

 病気と疑惑は別問題です。縁故主義で政策が歪められたり、税金が不正に使われることがあってはならない。検察庁法改正案との関連が濃厚な河井夫妻の選挙買収事件や、秋元司衆院議員が逮捕されたIR事件などには、菅首相も深く関わっているのではないですか。

  ――今年の通常国会終盤では、検察庁法改正案が、「官邸の守護神」と呼ばれた東京高検の黒川元検事長を検事総長にするための法案だと言われ、世論の大きな関心を集めました。その成立を阻止した手腕は見事だったと評判です。

 当時、SNS上で「#検察庁法改正案に抗議します」と抗議の意思を示すツイートが相次いでいました。歌手やタレントら、これまで政治的な発言をしなかったような著名人も反対の声を上げてくれた。そういう国民の声に何としても応えなければと思い、事前通告せずに武田国家公務員制度担当相(当時)の不信任決議案を提出する奇襲で審議を止めた。それでなんとか委員会採決を週明けに持ち越すことができましたが、ギリギリの綱渡りでした。

  ――内閣委の理事会で、与党側が「この後、採決を」と提案しているさなかに突然、大臣への不信任案が出された。驚きましたが、お作法通りにやっていたら、与党は決議案を即座に否決し、採決を強行していたかもしれませんね。

 時間稼ぎをして、週末の土日で世論が一層、盛り上がることを期待していました。いくら官邸主導で「やる」と決めても、与党議員だって地元の有権者から「おかしいじゃないか」と抗議が殺到したら無視はできませんから。週明けに黒川氏の賭けマージャンが週刊誌に載ることが分かり、与党も改正案の成立を断念という急転直下でしたが、法案に反対する世論が盛り上がらなければ確実に強行採決されていた。有権者の声が野党を後押ししてくれたら、与党も乱暴なことはできなくなる。そういう成功体験を国民と共有できたと思っています。昨年の大学入試の民間試験導入もそうです。国民が本気で不安や反対の声を上げれば、それが野党の力になり、与党の暴走を阻止することができるのです。

野党は国民の生活、権利を守る番犬

 ――安住国対委員長の体制で、戦う姿勢が鮮明になったと言われる。「融通無碍で手ごわい」という声が聞こえてきます。

 野党の仕事は、政権交代を目指すことです。対案を出しても採用されないんですから。新型コロナ対策でも、野党は早くから対案を出していました。年明けから新型インフルエンザ等対策特措法を適用すべきだと言っていたし、予算審議が本格化する2月上旬には、「厚労相はコロナ対策に注力すべきで予算委に出席しなくていい」と伝えていた。しかし、与党側はまったく危機感がなく、加藤厚労相(当時)は予算委に出てきた。新型コロナを軽く見ていたのでしょう。

  ――安倍政権下では、野党が建設的な意見を述べても、不正をただしても、「批判ばかり」というネガティブな反応があった。これは菅政権でも簡単には変わらないのではないですか。

 政府の不正を追及すると批判されるなんて、公金を横領しても問題ないとでもいうのでしょうか。与党のやっていることがおかしい、国民のためになっていないなら、政権から引きずり降ろすしかないじゃないですか。モリカケ桜などの疑惑は政権交代しなければ解明できません。それなのに、選挙で自民党に投票しておいて、与党の暴走を止められない野党の体たらく、不甲斐ないと有権者から言われるのは切ないですね。野党に投票して文句を言うなら分かりますが……。私はちょうど1年前の9月19日に立憲民主党に入党し、同日付で国対委員長に就任しました。国対委員長を受けるにあたって、共同会派でやることを認めてもらった。少数野党がバラバラでは巨大与党に太刀打ちできないからです。

  ――その延長に、今回の野党合流がある。合流は国対主導で進んだように見えます。

 今年1月からの通常国会に合わせ、まず物理的に衆議院の立憲民主党と国民民主党の控室間の壁を取り払いました。通常国会では、とにかく共同会派が投票行動を統一するよう心を配った。その結果、88本の法案・条約の対応について、1〜2人の造反はあったものの、99%一致した行動が取れました。

■与野党伯仲なら政治の私物化は起きない

  ――そういう積み重ねが実を結び、ようやく野党合流がまとまった。昨年来の合流協議は決まりかけては頓挫し、所属議員や支持者をヤキモキさせてきましたが……。共同会派と、一つの政党になるのとでは、まったく違いますか?

 やはり厚みが出ますね。リベラルだけではなく、「ザ・自民党」というべき中村喜四郎先生や小沢一郎先生のようなベテラン議員の力も大事です。お2人とも野党合流に尽力してくださった。連合も本気を出してくれた。ようやく1強政権に対峙できる体制が整ったと思います。私は小沢先生とは主義主張や理念が異なり、民主党政権時代から対立してきた立場です。しかし、野党をまとめる、強い野党をつくるという一点でこの1年間、手を携えてやってきた。もちろん、政治家も人間だから好き嫌いはあるでしょう。しかし、決まったことは守る。戦いが終われば一致団結して支える。自民党はそうやってきたわけです。それが大人の政党であり、自民党の強さなのだと思います。

  ――野党が大きな塊になり、今後の国会論戦に期待する声も高まっています。

 今月16日から3日間の臨時国会が開かれましたが、これは首班指名のためのもので、われわれが憲法に基づいて召集を求めている臨時国会はいまだ開かれていません。新型コロナ対策や経済対策、災害対策など議論すべきことは山ほどあるのに、秋の本格論戦の前に衆院解散の可能性もある。もし選挙になれば、とにかく1議席でも増やしたいですね。新・立憲民主党は結党時点で衆議院107議席の勢力になりましたが、自民党は現在284議席で、まだ半分にも満たない。これが170議席と220議席の差に縮まれば、政権交代も現実味を帯びてきます。

  ――1強政治は危うく、民主主義が形骸化してしまうことを安倍長期政権で思い知らされました。

 常に与党を圧勝させていたら、増税にも年金削減にも対抗できません。国民はそれで本当にいいのか、考えて欲しい。自分たちの権利、生活を守るための番犬と思って野党に投票してもらえたら、必ず今よりマトモな社会になります。与野党の勢力が伯仲すれば政治に緊張感が生まれる。「桜を見る会」のような権力の私物化は起こらないし、政権交代の可能性があれば、官僚は公文書の改ざんも隠蔽もしませんよ。実直な公務員が命を絶つこともなかったでしょう。一党支配の独裁国家でいいと国民が言うのなら、われわれも戦うことを諦めますが、それは民主主義国家の看板を捨てることに他なりません。 

(聞き手=峰田理津子/日刊ゲンダイ)

▽あずみ・じゅん 1962年、宮城県生まれ。早大卒。NHK報道記者を経て政界入り。96年から連続当選を重ね、現在8期目。民主党政権で財務相や選対委員長、幹事長代行などの要職を歴任した。

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