<3>東京五輪「来年7月強行開催」で窮地に立つ小池都知事【小池知事「伏魔殿都政」を嗤う】

<3>東京五輪「来年7月強行開催」で窮地に立つ小池都知事【小池知事「伏魔殿都政」を嗤う】

開催する方向へと大きく舵を切った(IOCのバッハ会長と小池都知事)/(C)日刊ゲンダイ

【小池知事「伏魔殿都政」を嗤う】#3

 ここにきてIOC(国際オリンピック委員会)の態度が急変している。

 1年延期された東京大会について、コーツ副会長が「ワクチンがあろうがなかろうが開催」と発言したのに続き、バッハ会長も「歴史的なものとなり、必ず成功する」と太鼓判を押した。

 日本側も、小池都知事が犬猿の仲だった菅首相とグータッチで“手打ち”を演出していたが、所詮は化かし合いのクリスマス休戦のようなもの。両者の関係は国政の急変によっていつ瓦解してもおかしくない。それはともかく、国と都が連携して新型コロナ対策に当たるとともに東京大会を開催する方向へと大きく舵を切ったことは間違いない。

 おそらく、年内には、来年7月予定通りの開催が決定されるだろう。新型コロナの状況次第との付帯条件が付くかもしれないが、IOCは最悪、無観客での開催も視野に入れつつ、何がなんでも開催したいと考えている。なぜなら、今後の五輪の存亡がかかっていると言ってもいいからだ。

 一方、日本側は、開催決定のタイミングで体調不十分の森会長から安倍前首相へと実質的なトップがバトンタッチされる可能性が出てきたものの、森会長を支える元財務省事務次官の武藤事務総長を筆頭に、永田町霞が関OBの総出演による国の推進態勢は盤石に見える。そして目立たない形で組織委を陰で支え続けているのが東京都だ。

■東京五輪の最大の問題は追加負担のカネ

 あまり知られていないが、5人の副事務総長のうち2人が都の副知事経験者であり、さらに、組織委には東京都から1100人の職員が派遣されて実務に当たっている。それも完全な手弁当で、人件費はすべて東京都持ち。都庁にはオリンピック・パラリンピック準備局があり、400人近い人員が定数配分されている。正直、オリンピック開催にかかる東京都の人的負担は半端ないのだ。

 開催に向けた人的な体制は万全として、これで「めでたし、めでたし」となるわけがない。一番の問題はカネで、1年延期したためにどれだけの追加コストが発生するのか。簡素化による経費の削減ばかりが報道されているが、イベントの縮小などで削減されるコストなどたかが知れている。おそらく、その額は数百億円程度で、1兆円規模の大会経費に比べれば雀の涙に過ぎないだろう。

 一部報道によれば、延期によるコストの大幅増と新たなコロナ対策費で約3000億円を超えるという。施設の維持費や仮設を一旦撤去して再び設置するための費用、非常用電源などの定期点検コスト、そして、使用期間中に生じる営業補償などだ。現時点でコロナ対策費がどれだけ見込まれているかは分からず、状況によってはさらに膨らむ可能性が大きい。そして追加負担の大半は、十中八九、東京都が被らざるを得なくなるのだ。 =つづく

(澤章/東京都環境公社前理事長)

関連記事(外部サイト)