<4>東京五輪1年延期の追加負担3000億円は都に押し付けられる【小池知事「伏魔殿都政」を嗤う】

<4>東京五輪1年延期の追加負担3000億円は都に押し付けられる【小池知事「伏魔殿都政」を嗤う】

カネの出どころは“税金”(組織委の森会長と小池都知事)/(C)日刊ゲンダイ

【小池知事「伏魔殿都政」を嗤う】#4

 まず東京大会の財政フレームをおさらいしておく。

「東京都6000億円」「組織委員会6000億円」「国1500億円」で、計1兆3500億円というのが公式な経費分担である。国と東京都のカネの出どころは税金だ。いざとなれば、国債や都債を発行して穴埋めすることも難なくできる。

 一方、組織委はスポンサー収入やチケット代、グッズ売り上げなどに限られる。つまり、組織委は、自助努力でこれ以上負担額を増やしようがない。一部のスポンサーからは、1年延期の追加負担は勘弁してくれと泣きつかれているうえに、9月末には、オフィスを構える晴海トリトンの一部が賃貸借の期限切れを迎え、引っ越さなければならない。

 弱り目に祟り目とはこのことで、余計な費用は増えるばかりだ。こんな調子だから、組織委は恒常的に金欠状態なのであり、延期に伴うコスト増を負担できるとは誰も考えていない。

 では、国と東京都が折半するのかと言えば、それも絶対にない。なぜなら、国はすでに、ビタ一文出さない姿勢を鮮明にしているからだ。

 既存の競技会場の競技に係る改修費用は、組織委が負担するのが原則となっている。ところが、カネのない組織委は、この原則を曲げて都施設での改修費用を都持ちに変更してしまった。必然的に都の出費は増えたが、同じ要求を組織委は国に対して行っていない。国には改修費用を求めないのだ。

 これは組織委の判断と言うより、森会長と武藤事務総長のコンビの計略と見るのが自然だ。国はこれ以上、一切のカネは出さない代わりに、組織委がカネに困ったときは都から搾り取るのが得策ということである。

 この延長線上で1年延期の追加負担を捉えれば、どう考えても「東京都さん、ここはひとつ、よろしくお願いします」となるのは火を見るよりも明らかだ。3000億円超とも目される追加コストのほとんどが東京都に押し付けられる可能性は極めて高いと言わざるを得ない。

■小池知事は今こそ「アラブ式」で費用削減を訴えるべき

 延期に伴う追加コストと言えば、豊洲市場の移転延期で発生した維持経費のことを思い出さないわけにはいかない。2016年8月末、目前に迫った築地市場の豊洲市場への移転を延期した小池知事は、移転延期にかかるコストに対して、異常なまでに神経を尖らせていた。延期したことで1日当たり700万円、年間で25億円超の余計な経費が発生するとメディアに批判がましく報道されたことが、よほど気に入らなかったようだった。

 以来、事あるごとに市場当局は、維持コストを下げろと知事から指示された。ある時は「定価で買うのはアホよ。アラブ式でいきましょ」と発破をかけられもした。さすが、カイロ大学卒の秀才である……などと感心している場合ではない。豊洲市場の維持管理費を洗い出し、警備員の数や巡回回数を削り、植栽のメンテナンスを削り、涙ぐましい努力を重ねて(?)、ついに1日当たり500万円を切るところまでコストダウンを図った。だが、アラブ式の知事からお褒めの言葉をいただくことはなかった。

 さて、オリンピックの延期費用である。小池知事から延期コスト削減の話をほとんど聞いたことがない。今こそ、アラブ式を存分に発揮していただかなければならないのに、これはどうしたことか。遠慮していると、国から一方的に負担を押し付けられるのは必至である。もしそうなれば、ただでさえ新型コロナ対策でひっ迫している都財政はさらに困窮し、小池知事は窮地に立たされるのだ。

 それとも、1年後の都政には関心がないのだろうか。あるいは都知事の座にはいないとでもいうのか。なんだか、小池知事の本音が透けて見えるではないか。

(澤章/東京都環境公社前理事長)

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