学術会議会員の任命は「形式的」 中曽根元首相が83年5月の国会答弁で断言していた

学術会議会員の任命は「形式的」 中曽根元首相が83年5月の国会答弁で断言していた

菅首相(右)の人事介入について中曽根元首相はどう思うのか…(C)日刊ゲンダイ

「歯向かう奴は許さない」。霞が関官僚のみならず、学術界にまで「恐怖人事」の手を伸ばしてきたことに対し、世論批判が噴出している。菅義偉首相が「日本学術会議」の会員候補6人の任命を拒否した問題のことだ。

 加藤勝信官房長官は2日の記者会見で、「任命権者である首相が日本学術会議法に基づいて任命を行った」と説明し、“菅案件”として見直さない考えを強調。まるで「首相が任命権者なのだから当たり前」みたいな物言いだったが、この解釈は明らかに間違っている。「日本学術会議」会員の任命については、過去の国会で故・中曽根康弘元首相が「形式的な任命」とハッキリ答弁しているのだ。

 1983年5月12日の参院文教委。学術会議の会員の選出方法などをめぐる「学術会議法改正」の審議で、前島英三郎議員が「代表が選挙によって選ばれるということが国のいろいろな審議機関に見られないわけですけれども、この中では、いままで選挙によって選ばれてまいりました。(略)今後この学術会議は、たとえば他の諮問機関のような形に変わっていくのでしょうか」と質問すると、答弁に立った中曽根首相(当時)はこう断言していたのだ。

「これは、学会やらあるいは学術集団から推薦に基づいて行われるので、政府が行うのは形式的任命にすぎません。したがって、実態は各学会なり学術集団が推薦権を握っているようなもので、政府の行為は形式的行為であるとお考えくだされば、学問の自由独立というものはあくまで保障されるものと考えております」

 さらに、前島議員が「政府案を私ずっと聞いておりましても、学術会議の存在理由をなくすというふうな危険性をも一面感じているのですけれども、その辺は、全く自主独立、そういう介入する意図はあり得ない、こういうことで理解してよろしいですか」と念押しすると、中曽根元首相はあらためてこう答えていた。

「昔のような学術会議はなくなってくると思います。つまり、学者が選挙運動に狂奔して、郵便を配ったりいろいろやっておると。学問の権威というものは票数にかかわるものではないという面があるのであって、そういう意味において、生きた人間同士が生きた人間の権威者を選ぶという方がより真実に学問の場合は近いと私は考えております」

 奇しくも17日には都内で中曽根氏の内閣・自民党合同葬が行われる予定だが、菅首相(党総裁)は「(学術会議会員の)任命は形式的行為」と答弁した過去の中曽根発言をどう思っているのか。

 安倍政権では、過去の政府答弁や解釈を簡単に覆すことが頻繁に行われたが、菅首相はまさか、今回の人事介入についても「安倍政権の継承」というのではあるまいな。

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