学術会議叩きに躍起…菅政権の露骨な政治介入に世界からも抗議の声

学術会議叩きに躍起…菅政権の露骨な政治介入に世界からも抗議の声

経緯がわからない代役(閉会中審査で後方からペーパーを受け取る内閣府の三ツ林裕巳副大臣)/(C)日刊ゲンダイ

日本学術会議の新会員候補6人を菅首相が任命拒否した問題。7日の衆院内閣委員会の閉会中審査でも、政府側はゴマカシ答弁に終始。菅政権は詳細な説明を避け、フタをするつもりだ。アカデミズムへの露骨な政治介入に世界からも抗議の声が上がり始めた。

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 野党は加藤官房長官か、学術会議を所管する井上科学技術担当相の出席を求めていたが、与党側は拒否。代役の三ツ林裕巳内閣府副大臣(科学技術担当)の答弁はひどかった。

 政府は1983年の国会答弁で「学会から推薦いただいた者は拒否しない。形だけの任命だ」と説明していた。ところが、三ツ林氏は「推薦の通り任命しなければならないわけではない」と百八十度異なる説明を披露した。三ツ林氏はその口で「会員が任命制になった時からこの考え方が前提だ。解釈変更を行ったものではない」と一貫性を強弁するから、もう支離滅裂だ。

 結局、「学問の自由への侵害になるとは考えていない」と言い張り、任命しなかった理由については「人事のことなので回答は差し控えたい」と逃げた。立憲民主党の安住国対委員長は「経緯がわからない副大臣を出して、お茶を濁して答弁しているだけ」と批判。納得できる説明をできない菅政権は学術会議叩きに躍起だ。

 学問の自由の侵害につながる方針転換を「前例踏襲主義の打破」にスリ替え、学術会議の年間約10億円の予算を強調。“利権”があるかのような印象操作だったが、実情は異なる。

 加藤長官によると、会員210人に支払われる手当は年間4500万円。1人当たり22万円程度だ。6日の「立憲デモクラシーの会」の声明発表会見で、元会員の杉田敦法大教授は内情をこう語った。

「手当は会議に出ると1人いくらとくれますが、秋ごろになるとお金がなくなって『後は自腹でお願いします』と言われたような組織。決して経済的な利権があるようなものではない」

米大学も抗議に参戦

 菅政権の“ネガキャン”は不発に終わりそうだが、怒りの輪は国内外でみるみる広がっている。

 是枝裕和、森達也各氏ら「映画人有志」22人は5日、抗議声明を発表。菅首相の母校、法大の田中優子総長も同日、「任命拒否は憲法が保障する学問の自由に違反する極めて大きな問題」との「総長メッセージ」を発表した。歴史学者が3日に始めた「任命拒否の撤回を求める」署名は、7日午後9時の時点で13万人を超えた。

 さらに、米国のプリンストン大やコロンビア大でも、学者が「民主主義を守るべき」と署名をスタートさせたという。立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)は言う。

「学問の自由に政治権力が介入すると、真理が追究できなくなり、国は衰退していきます。憲法で保障された学問の自由は権力者にも国民にも極めて重要なのです。菅政権のここまで露骨な介入は近代ではまれに見るものです。独裁国でも、もっと上手に“介入”するはず。米国の大学での署名活動は『日本はそんな国なのか』と、世界に異様に映っている表れだと思います。世論の力で任命拒否を撤回させなければ、日本は民主主義国扱いされなくなります」

 学界だけでなく、国民にとっても正念場だ。

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