学術会議に“攻撃”開始でも答弁不能 菅政権は「もう詰んでいる」と共産・田村智子議員

学術会議に“攻撃”開始でも答弁不能 菅政権は「もう詰んでいる」と共産・田村智子議員

「鉄壁」なら説明したらどうか(官邸を出る菅首相)/(C)共同通信社

菅政権はいつまで“悪あがき”するつもりなのか。日本学術会議を巡る首相の任命拒否問題。アカデミズムに対する政治の不当介入に、国内外の学者らが怒りの声を上げる中、自民党は学術会議のあり方を検討するプロジェクトチームを立ち上げる。その狙いは、得意の「論点ずらし」「すり替え」だ。しかし、菅首相の「負け戦」は明らかである。

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 問題の本質は、法律に定められた学術会議の人事に政権が不当に介入したことであり、任命を拒否した6人について何ら説明責任を果たしていないこと。まともに議論しても勝ち目がないと思っているのか、菅政権は、もっともらしく「学術会議改革」を掲げて国民の目をそらす狙いらしい。

「学術会議には年間10億円の政府予算が注入されています。税金を使っている以上、政府が手を突っ込むのは当たり前という雰囲気に持っていきたいのでしょう。学術会議が政府の方針と異なる声明を出していることから、政権が『共産党系の学者が多い』『中国とつながっている』などのイメージを喧伝し、ネガティブキャンペーンを展開することも考えられます」(政界関係者)

 問題のすり替えを図ろうとするのは、それだけ追い詰められている裏返し。実際、政府の言い分はほころびだらけだ。

 政府は首相の学術会議会員の任命権について、「公務員の選定・罷免権を記した憲法15条を前提としている」ため、裁量が認められると主張している。これは過去の首相答弁や文書の「形式的任命」と矛盾するが、それでも「裁量がある」の一点張り。さらに、整合性を言いつくろうために、なんと50年前の答弁を持ち出してきたのだ。

50年前の答弁を掘り起こす“悪手”

 そのよりどころとは、1969年7月24日の衆院文教委員会での高辻正己内閣法制局長官(当時)の答弁。公務員である国立大の学長の任命について、公務員の選定・罷免権を定めた憲法15条との兼ね合いを次のように説明している。

「申し出があった者を任命することが、明らかに法の定める大学の目的に照らして不適当と認められる、任命権の終局的帰属者である国民、ひいては国会に対して責任を果たすゆえんではないと認められる場合には、文部大臣が、申し出のあった者を学長に任命しないこともできないわけではない」

 要するに法に照らして「明らかに不適当」と認められた場合に限り任命拒否できるということだ。

 この高辻答弁を持ち出したのは明らかに政府の“失敗”だ。共産党の田村智子参院議員が8日の参院内閣委で追及。「菅総理は日本学術会議法に照らして、6人を『明らかに不適当である』と判断したことになる」「『明らかに不適当である』理由を示して欲しい」――と迫ると、政府側はタジタジ。質問に答えられず、「人事の詳細については控える」と逃げざるを得なかったのだ。田村議員が改めてこう言う。

「憲法15条は、公務員の選定・罷免に関して『国民固有の権利』と言っています。つまり、国民の権利を記した条文なのです。ということは、憲法15条を持ちだしたことで、菅首相は任命を拒否した6人について『明らかに不適当』と判断した根拠の説明責任を負ったことになる。何十年も前の答弁を引っ張り出し、根拠を後付けするから、説明にもならない苦しい言い分になっているのです。政府はもう詰んでいます」

 菅首相は官房長官時代、「鉄壁」ともてはやされた。それほどの“実力”があるなら、国会できちんと説明したらどうか。 

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