慣れない療養施設運営でコロナ感染にさらされる都職員たち【小池知事「伏魔殿都政」を嗤う】

慣れない療養施設運営でコロナ感染にさらされる都職員たち【小池知事「伏魔殿都政」を嗤う】

細部を詰めないままのトップダウン(C)共同通信社

【小池知事「伏魔殿都政」を嗤う】#6

「東京iCDC」(感染症対策センター)が1日に立ち上がったにもかかわらず、メディアで大きく取り上げられることはなかった。所詮は著名な学者をかき集めたに過ぎない「専門家ボード」に期待しろと言われても無理なのである。

 それよりも、新型コロナの最前線で奮闘している保健所のテコ入れ、東京都との連携強化こそが急務なのだ。そう問題提起したのは、7月に小池知事によって左遷された前福祉保健局長だった。彼は旧衛生局や都立病院関連の部署で経験を積み、1975年に移管された区立の保健所と、都の公衆衛生部署の連携がスムーズでないことを理解していた。

 そこで彼は、新型コロナが拡大する最中、小池知事に対して両機関の連携強化を進言したのだが、その時、小池知事はこう言い放ったという。

「そんなに言うなら、あなたが保健所に行けばいいじゃない」

 いやはや、これが事実であれば知事の言葉とは思えない暴言の類だが、都庁内部では、この発言について知らない職員はいないようだ。小池知事の非情さもさることながら、保健所の重要性と課題に関する認識の甘さには愕然とさせられる。果たして、この程度の認識で秋冬の感染再拡大に対応できるのか。心配でたまらない。

■宿泊療養施設の運営は各局任せのお粗末

 新型コロナの軽症患者らを収容するホテルなどの宿泊療養施設も混乱している。6月末に契約期限が切れ、危うく部屋数を確保できなくなるという失態もあったが、今でも現場は、てんやわんやの状態である。

 ホテルには各局から管理職以下、大勢の都職員が数週間のローテーションを組んで派遣されている。最初は保健所と同様に混成部隊で対応していたが、7月以降は、ホテルごとに局が割り当てられ、それぞれ独自に管理しろ、という方式に変更された。例えば、建設局は△△ホテルをよろしく、といった具合である。

 しかし、建設局などの事業局に感染症のノウハウがあるわけがない。ろくなマニュアルさえ用意されず、まさにゼロからの療養施設運営を強いられて大混乱に陥っているのだ。

 施設運営を経験したある管理職がこう言う。

「わがままな入所者の対応や看護師同士のもめごとの仲裁に手を焼いたのは確かです。でも、一番しんどくて、身の危険を感じたのは、入所者の受け入れの際、接触の危険性について何の説明もなかったことです。こちらは感染症の知識も経験もないので、教えてもらわなければ何もわからない。職員の命をなんだと思っているのだと腹が立ちました」

 実際、療養施設派遣組から新型コロナの感染者が出ているとの話も都庁内で広まっている。付け焼き刃の対応が、混乱と動揺を招いているのである。

■実動部隊の福祉保健局は蚊帳の外

 こんな悲惨な状況が生じている原因は、新型コロナ対策を所管する福祉保健局の絶対的なマンパワー不足に加え、細部を詰めないまま降ってくるトップダウンによる指示が大きい。

 管理職は福祉保健局に兼務発令、一般職員は保健所に派遣命令、さらに「東京iCDC」の発足によって政策企画局から福祉保健局に大量の管理職が集められ、準備作業に当たっている。「東京iCDC」の発表資料などはすべて政策企画局が作成している。実働部隊の福祉保健局は蚊帳の外なのだ。

 必然的に福祉保健局職員は冷ややかな反応しかない。座席表も名簿もなく、隣の部署が何をやっているかも分からない。横の連携は図られず、マネジメントはぐちゃぐちゃ。カオス状態のため、福祉保健局内は分断状態が起きているという。福祉保健局に限らず、どの部署も小池知事の身勝手なトップダウンによって大混乱しているが、それでも、小池知事の目立ちたがりとパフォーマンス好みは終わらないのである。

(澤章/東京都環境公社前理事長)

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