負けたら監獄…疑惑まみれのトランプを守る現職大統領の特権【窮地のトランプ大統領 焦燥の真相】

負けたら監獄…疑惑まみれのトランプを守る現職大統領の特権【窮地のトランプ大統領 焦燥の真相】

「特権」を守りたい(ホワイトハウスのバルコニーに立ち、健在を示すトランプ米大統領)/(C)ロイター

【窮地のトランプ大統領 焦燥の真相】#3

 ドナルド・トランプ米大統領の所得税問題は、ニューヨーク州マンハッタン地検のサイラス・バンス検事も厳しく追及している。

 検事の捜査で違法性が証拠付けられた場合、どうなるのか。その捜査に立ちはだかっているのが、現職大統領は刑事訴追されないという「特権」の壁である。しかし、11月の大統領選挙で落選した場合、その特権は行使できなくなるのだ。

 バンス検事は、税金の問題では、過去8年間にわたる大統領の所得税関係文書を提出するよう、大統領の個人会計事務所「メイザーズUSA」に「召喚状」を発出した。これに対してメイザーズ側は大統領特権を盾に提出を拒否、最高裁まで争った。最高裁は、第三者のメイザーズ側には大統領特権を行使する権限はないとして、高裁に差し戻し、現在も審理中。

 バンス検事はこのほか、@トランプ氏による保険と金融の不正問題、A前回大統領選前に「口止め料」として元愛人のポルノ女優ストーミー・ダニエルズさんに13万ドル(約1370万円)、モデルのカレン・マクドゥーガルさんに15万ドル(約1580万円)を支払った公職選挙法違反容疑――を捜査中とみられる。

 また、ニューヨーク州検察庁は、トランプ大統領が所有するニューヨーク州ウェストチェスター郡セブンスプリングスの別荘の評価をめぐる問題を捜査している。

 この別荘は1995年に750万ドルで購入、現在の評価額は5000万ドル以下とみられている。しかし、この別荘を担保として銀行融資を申請した際に、2億9100万ドルと評価額を膨らませ、その分多額の融資を得た疑いがあるという。この問題で、検察庁は次男のエリック・トランプ氏に事情聴取を求めたが、拒否されたという。

 また、未解明の疑惑もある。ロシアとのビジネス関係だ。1990年代、ホテルなど6社の破綻でトランプ氏がピンチに陥った際、その窮状を救ったのは「ロシアマネー」だったといわれる。

 謎のロシア系米国人実業家フェリックス・セイター氏らが創設した不動産開発会社「ベイロック・グループ」が旧ソ連諸国から巨額の資金を集めて、トランプ氏が売り出したフロリダ州の別荘などに投資させた。その資金源には、ロシア・マフィアなど犯罪組織が関わったマネーロンダリング(資金洗浄)の疑いがあったといわれる。

 ジョージアのグループやサウジアラビアからも巨額の投資が入り、コンドミニアムなどを購入した。かくして、ロシア情報機関が、「ビジネスの成功者」というトランプ氏のイメージを売り出すのに一役買ったという疑惑もある。トランプ氏が落選した場合、時効が切れていない疑惑は徹底捜査されるのだろう。=つづく

(春名幹男/国際ジャーナリスト)

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