江戸川“叩き上げ”区長の決断力 高齢者施設などの全職員を無料PCR検査

江戸川“叩き上げ”区長の決断力 高齢者施設などの全職員を無料PCR検査

斉藤猛区長はラグビーが好きらしい(江戸川区公式HPから)

江戸川区は28日、高齢者施設や小中学校で働く全ての人々に、PCR検査を無料で実施することを発表した。

 対象は区内の高齢者・障害者施設の職員や幼稚園・保育所・小中学校で子どもたちに接する教職員。検査用のバス1台が区内の約1800施設を回り、来年3月31日まで実施する。

 厚労省の規定では、濃厚接触者以外は約3万円のPCR検査代を自費で負担させられる。当然、検査は広まらない。そこで江戸川区は検査機会を拡張し、クラスター発生や高齢者の重症化リスクを抑え、区民も職員も安心して過ごせるようにと無料実施を企画。予算は約6800万円で区が全額負担する。

 かねて江戸川区はコロナ対策に熱心で、4月にはドライブスルー方式のPCR検査を都内で初めて取り入れた。7月には介護施設内でのクラスター発生や、職員の感染で人手不足に陥るケースに備え、異なる法人間であっても“ヘルプ職員”を出し合える制度を、全国で初めて導入している。

 なぜ、江戸川区は効果的な施策を次々に打ち出せるのか。地元・江戸川区選出の上田令子都議はこう話す。

「何と言っても、斉藤猛区長の判断力の速さでしょう。状況を捉え、今あるリソースをうまく組み合わせた施策を出せる人です。江戸川区職員として福祉部長や教育長を経験し、現場を知っています。コロナ禍の区長が彼で良かったです」

 斉藤区長は1963年東京都生まれの57歳。早稲田大学社会科学部出身で、夜間部に通っていた。卒業後に区職員となってから、江戸川区一筋で勤めてきた。どこぞの首相と違って、現場を知る真の叩き上げだ。

 区の職員も「区長は現場の声を拾い、できることを一緒に考えてくれます。今回のPCR検査導入も、現場で出た提案に区長が賛同し実現しました」と話す。

 一方、同じ都内でも区によって税金の使い方には大きな差がある。墨田・板橋両区は、電子決済サービスPayPay決済の20〜30%還元キャンペーンを実施。2億〜3億円の財源はPayPayではなく、全て区の負担だ。PCR検査の無償実施について墨田区は「整備中」(広報課)、板橋区は「高齢者施設の職員は検討中」(介護保険課)と答えた。

 リーダーシップがあり、税金の使い方がうまい区長がうらやましい。

(ライター・中川七海)

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