菅首相に任命拒否された学者6人が「政府を訴える」ことは可能なのか

菅首相に任命拒否された学者6人が「政府を訴える」ことは可能なのか

これからどうなる?(報道陣に囲まれ会見する日本学術会議の梶田会長)/(C)共同通信社

日本学術会議が推薦した6人の任命を拒否したことについて、「法に基づいて適切に対応した結果だ」「総合的、俯瞰的活動を確保する観点から判断した」「多様性が大事だ」――と、説明を次々に変えている菅首相。

 完全に説明不能に陥っている。しかし、どんなに「任命拒否は違法だ」と批判されても、<公務員の選定>は<国民固有の権利>と定めた憲法15条を根拠に「適切に対応した」と突っぱねるつもりだ。とうとう、ネット上では「裁判で白黒つけるべきだ」との声が飛び交い始めている。

 菅サイドは、裁判になることを恐れているという話も流れている。学術会議は菅首相を訴えるのか。日刊ゲンダイが学術会議の事務局に「任命拒否の取り消しを求める行政訴訟を起こす考えはないのか」と質問すると、「学術会議は国の機関なので国を訴えられない」とのことだった。

 ただし、任命拒否された学者6人が国を訴えることは可能だという。成蹊大教授の武田真一郎氏(行政法)はこう言う。

「事務局が言う通り、日本学術会議は国の機関なので法律の規定がないと国を訴えることができません。ただ、違法な任命拒否処分を受けた公務員は処分の取り消しを求める訴えができます。同じように任命拒否された6人は任命拒否が違法だとして処分の取り消しを訴えることができると考えられます。6人は、違法な任命拒否によって、本来、就け得た会員の地位を奪われ、報酬も得られなかったわけですからね」

 裁判になったら、どうなるのか。菅政権が窮地に追い込まれるのは間違いない。元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士がこう言う。

「裁判所は、任命権者の菅首相には裁量権がある。ただし裁量権の乱用は認められない、という考え方に立つはずです。例えば、降格人事を受けた公務員が役所を訴えた場合も、裁判所は『人事権は役所にある』という考え方を前提に、誰が見ても不当な人事に対しては、違法だと判断を下します。もし、6人の学者が国を訴えたら、争点は人事権の乱用があったかどうかになるでしょう。訴えられた政府は、任命拒否した理由の合理的な説明が求められる。総合的、俯瞰的といった理由では、裁判所は納得しないでしょう。任命拒否した理由を合理的に説明できないと、政府は裁判で負ける可能性があります」

 学者6人は、裁判で白黒つけることも考えた方がいいのではないか。

関連記事(外部サイト)