バイデン大統領誕生なら日本は「対中国のミサイル基地」に…識者3人が占う日米関係の今後

バイデン大統領誕生なら日本は「対中国のミサイル基地」に…識者3人が占う日米関係の今後

勝者はどちらにー(民主党のバイデン前副大統領)(C)ロイター

勝者はどちらに――。菅首相も固唾をのんで見守っていることだろう。トランプ大統領再選か、それともバイデン前副大統領の当選かで、日米関係はどう変わるのか。「外交初心者」の首相はどんな対応を迫られるのか。識者3人に聞いた。

■どちらが勝っても日本は媚びるしかない

「農産品市場を開放しろ」「武器を買え」――。菅首相にとっては米国ファーストで強引なトランプ氏より、バイデン氏の方がくみしやすいように見える。バイデン氏なら日本に朗報かと思いきや、「そんなことはないでしょう」と、高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)は話す。

「バイデン氏は幅広い産業にわたり市場の開放を迫ってくるとみられます。日本政府はバイデン氏勝利の場合、菅首相の訪米を先送りする一方、トランプ氏再選の場合は早期にお祝いの挨拶のために訪米する方向で調整している。どちらが大統領になっても日本が『媚びる外交』を迫られるのは間違いありません」

 日本が米国にむしり取られる構図に変わりはなさそう。特に不安視されるのが、「在日米軍と安全保障」「米中関係」「拉致問題」の3点だ。


米軍駐留経費 防衛負担

 トランプ米政権は2021年度以降の在日米軍駐留経費の日本側負担について、現状の約4・5倍となる年間約8640億円への増額を要求している。米国製の兵器“爆買い”要請を含め、トランプ氏はとにかく「カネを出せ」と迫ってきたが、バイデン氏当選でより深刻な事態に陥る可能性がある。

「両者は在日米軍基地についての考え方が全く違います。トランプ氏は『日本に米軍基地など不要』と考えている。米軍を置いてやる代わりに『カネを出せ』『武器を買え』という考えです。しかし、バイデン氏は核兵器を保有する中国対策として、在日米軍基地を重要視している。基地の固定化を目指すでしょう。日本は対中国を睨んだ“ミサイル基地”になってしまう恐れがあります」(元外務省国際情報局長・孫崎享氏)


米中関係と日本

 さらなる懸案は米中関係の悪化だ。トランプ氏は中国と貿易戦争を起こし、新型コロナを「武漢ウイルス」と呼び、中国の感染症対策を批判。両国の関係はどうなるのか。

「トランプ氏は側近が練り上げた策を、土壇場でひっくり返すこともしばしば。場当たり的で、何をしてくるか分かりませんから、中国政府は警戒しています。一方、バイデン氏は習近平国家主席と良好な関係を築いている。バイデン氏が中国にどう対峙するかはまだ不明ですが、中国としてはトランプ氏よりずっと交渉しやすい相手と言えます」(国際ジャーナリスト・春名幹男氏)

 米中関係は、経済的に中国に依存する日本にも影響必至だ。

「日本は中国の習主席を国賓として招く方針を掲げています。強く求めているのが、親中派の自民党・二階幹事長。総裁選勝利の立役者ですから、菅首相は意向を無視できません。どちらが大統領になっても、習主席を国賓として招くことになるでしょう。反中感情をあおるトランプ氏よりバイデン氏の方が、ハレーションが少ないとみられます」(春名幹男氏)

■北朝鮮 拉致問題

 トランプ氏は金正恩朝鮮労働党委員長との首脳会談を実現。しかし、バイデン氏は「(トランプは)北朝鮮を正当化した」「(北朝鮮は)ゴロツキだ」とまで批判。菅首相は拉致問題について、「米国と緊密に連携して取り組む」と語ったが、果たして解決できるのか。

「北朝鮮に対しては、トランプ氏よりバイデン氏の方が厳しい態度を取るでしょう。しかし、圧力を強めれば拉致被害者が帰ってくるわけではない。米国に仲介を頼んで圧力をかけても解決しません。日本が独自のパイプをつくって主体的に北朝鮮と交渉するしかないでしょう」(孫崎享氏)

 拉致問題について菅首相は「菅政権でも最重要」と言ったが、安倍前首相のように看板倒れに終わらないでもらいたい。


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