墓穴掘った菅首相…「個別の人事」政府説明が2年で3事例もあった

墓穴掘った菅首相…「個別の人事」政府説明が2年で3事例もあった

菅首相は「差し控える」の繰り返し(2日、衆院予算委)/(C)共同通信社

「個別の人事に関わる」として、日本学術会議の新会員候補6人を任命拒否した理由の説明を拒み続ける菅首相だが、早速墓穴を掘った。2日の衆院予算委員会で、菅が自著でNHK改革に反対した総務省の課長を更迭したエピソードを自慢していることが暴露されたのだ。個別の人事に思いっきり言及していた。

 省庁の課長と学術会議の会員では次元が異なるようにみえるが、「菅自身が国民の公務員の選定・罷免権」を定めた憲法15条を持ち出し、任命拒否している以上、一般の公務員との区別はない。 菅も「政府機関に所属する公務員の任命であり、通常の公務員の任命と同様に理由については人事に関することなので、お答えは差し控える」と“同列扱い”を明言している。

 では、これまで政府は公務員の個別の人事について説明を差し控えてきたのか――。ここ2年だけをみても答えはノーだ。

 2018年、セクハラ疑惑が浮上した外務省ロシア課長の毛利忠敦氏は、停職9カ月の懲戒処分を受け、官房付に更迭された。河野外相は、被害者のプライバシーを盾に詳細は控えたが「このような事案が起きたことは誠に遺憾だ」と陳謝した。

 19年の通常国会では厚労省の統計不正問題が炎上。頼りない答弁を繰り返していたキーマン大西康之政策統括官が突然、2月1日付で大臣官房付に事実上、更迭された。根本厚労相は「基幹統計に関する一斉点検に関して報告漏れがあった。引き続き統括官の職務を担わせることは適当ではないと考えた」と具体的な理由を挙げた。

 19年12月、かんぽ不正をめぐって、総務省の鈴木茂樹事務次官が行政処分の検討状況を、元次官で日本郵政の鈴木康雄上級副社長に漏洩していたことが発覚。総務省は12月20日付で停職3カ月の懲戒処分にし、鈴木次官は同日、辞職。事実上の更迭だ。高市総務相は緊急記者会見を開き「本件は情報の漏洩によって、公務の中立性を損なう非違行為であり、国家公務員法99条に定める信用失墜行為にあたる」と説明している。

■任命拒否は憲法15条を蹂躙

 立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)が言う。

「更迭は異例の人事。本人と国民が納得できる理由が必要です。落ち度のない公務員が更迭されることは、憲法15条の国民の公務員の選定権を侵害することになります。そのポストでしっかり仕事をしている公務員を失うことになるわけですからね。だから、政府は公務員を更迭する場合、会見などですみやかに具体的な説明を尽くしてきたのです」

 任命拒否は、本来就くべきポストを与えられないという点で、ポストを奪われる更迭と同じ異例の人事といえる。

「菅首相は15条を根拠に任命拒否していますが、理由を示さない任命拒否こそ、15条を蹂躙しています」(金子勝氏)

 納得できる理由を示すか、任命するか。二つに一つだ。

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