トランプ陣営の原動力 過激集団「Qアノン」ついに米政界進出の不気味

トランプ陣営の原動力 過激集団「Qアノン」ついに米政界進出の不気味

QアノンのTシャツを着たトランプ支持者(C)Michael Brochstein/ZUMA Wire/共同通信イメージズ

投票締め切りから丸1日が経過しても結果が確定せず、まれにみる激戦になった米大統領選。民主党のバイデン氏圧勝という事前の世論調査に反して、根強い支持を見せつけて善戦するトランプ大統領の原動力になったのが、「Qアノン」の存在だ。

 Qアノンとは、2017年ごろにインターネットの匿名掲示板に現れた「Q」と名乗る人物が振りまく陰謀論と、その信奉者を指す。アノンはアノニマス(=匿名)という意味だ。

 Qアノンの主張によると、米国は闇の権力者たち「ディープステート」に支配されていて、トランプは彼らと戦うヒーローである。また、民主党の政治エリートたちは小児性愛者であり、サタン崇拝の小児性愛者ともトランプは戦っている。真の救世主だから迫害され、ディープステートの一部であるマスコミからも批判されているというのだ。

 荒唐無稽な陰謀論はまるでアメコミの世界だが、これを信じる人々が数多くいるのが現実なのである。当然、Qアノン信者はトランプの熱狂的な支持者である。

「Qアノンの特徴は非科学的で、ネット上で自分たちに都合のいい情報だけを取り入れ、過激化していくことです。まともな政治家が相手にしてはいけない人々なのですが、トランプ氏はうまく取り込んでいる。コロナ対策のマスクもしないし、郵便投票は不正だという主張もQアノンにしてみればすんなり腑に落ちる。彼らの存在がSNSによる連帯で可視化され、集団化していることが大統領選に与えた影響は小さくない。しかも、ネット上の存在だけならまだしも、現実の政治の場にも進出してきました」(高千穂大教授の五野井郁夫氏=国際政治学)

上下両院で当選

 大統領選と同時に行われた連邦議会の上下両院選で、ジョージア州ではマージョリー・テイラー・グリーン氏が当選を決めた。Qアノン信奉者の中でも有名な女性だ。フェイスブックに「今こそサタンを崇拝する小児性愛者を追放するチャンス。私たちの大統領はそれができる」などと語る動画を投稿したこともあり、陰謀論だけでなく、人種差別なども支持してきた。

 再選を果たした共和党のエリック・バーセル上院議員もQアノン信奉者とされる。公用車にQアノンのスローガンである「Where we go one we go all(我々はひとつになる場所に共に向かう)」を略した「WWG1WGA」というステッカーを貼っていたことが物議を醸した。

「FBIはQアノンはテロの脅威だと警告していますが、トランプ氏が敗北しても消える気配はありません。むしろ、ディープステートによる陰謀のせいで負けたと主張し、信奉者を増やす可能性もある。ネオナチ復活やネトウヨ隆盛も根っこは同じです」(五野井郁夫氏)

 ネット社会のあだ花と切り捨てられない影響力が不気味だ。

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